~美姫 side~
夏祭りの次の日―
昼食を食べ薬を飲んでいると
お
コンコン。
ドアがノックされ入ってきたのは
夏妃『美姫ー?』
夏妃だった。
…あれ、1人?
1人で来るなんて珍しい。
いつも拓真たちと来るのに。
なんかあったのかな?
美姫『1人で来るなんて珍しいね。
なんかあったの?』
夏妃『…べ、別に。ただ話したかっただけ。』
この反応は…
なにかあったな。
もしかして…
美姫『俊となんかあった?』
夏妃『な…!なんでアイツが出てくんのよ!』
いつも冷静な夏妃のこの態度は…
やっぱり…
美姫『だって別行動してたじゃん。
…で何があったの?』
夏妃『……それは…大したことじゃないよ。』
やっぱりおかしい。
夏妃よく
「美姫嘘つくのへた。」
って言ってるけど…
夏妃だってへたじゃん。
こんなのわたしじゃなくてもわかるよ。
…ちょっと反応をみてよ。
美姫『もしかして…俊のこと好きだったりして。』
そんなことないってわかってるけど…
美姫『…なんてね。
夏妃は俊みたいな人好きじゃないもんね。』
チラッと夏妃をみると
夏妃『………』
あれ?
いつもの夏妃なら
「なにバカなこと言ってんのよ。
私があんなの好きなわけないでしょ。」
って言ってくるのに…
何も言い返してこない。
…ていうか
なんとなく顔が赤い気が…
…まさか!
美姫『え!?好きなの!?』
さっきよりも顔が赤くなる夏妃。
え、やっぱそういうことなの!?
夏妃『…べ、別に好きとかじゃないから。』
夏妃さん?
言ってる事と表情が矛盾してますよ?
…あ、これがいわゆる
「ツンデレ 」!?
確かに夏妃は普段俊にツンツンしてるけど…
今はかわいい!
…よく男子がツンデレ女子かわいいって言ってるけど…
確かに今の夏妃かわいい!
少し男子の気持ちわかっちゃったかも。
夏妃は普段は綺麗系で美人さんだけど…
今の夏妃はかわいい。
夏妃『…ねぇ、美姫はアイツの事どう思ってんの?』
恥ずかしそうに俯きながら聞いてきた。
こんなこと聞いてくるなんて…
やっぱ好きなんじゃん。
美姫『…友だち…かな。』
夏妃『ほんと!?』
こどものように身を乗り出す夏妃。
美姫『う、うん。
ていうか…わたし俊の事好きじゃないから安心してよ。』
夏妃『だから私もあんなの好きじゃないし!』
いい加減認めればいいのに。
じゃあ…
美姫『まぁそうだよね。
夏妃はチャラ男嫌いだもんね。』
夏妃『アイツ…見た目あんなんだけど中身はたぶんしっかりしてると思うんだよね。』
へぇ…わかってるじゃん。
美姫『そうだよ。
…やっぱ好きなんじゃん♪』
夏妃『……まぁ…嫌いではない…かな。』
ほんと…素直じゃないなぁ。
さて。
夏妃が俊の事好きだってわかったって事で…
美姫『…で。昨日何してたの?』
夏妃『……今私、生理中で…
昨日生理痛ひどくて貧血気味で…』
観念した夏妃がやっと昨日あった事を話してくれた。
夏妃『美姫探してる時にフラついて
転びそうになったらアイツが支えてくれて…』
お、なんかいい展開。
夏妃『体調悪いの心配して傍にいてくれて…足もなれない靴で靴ずれしてたから
おんぶして送ってくれたの。』
照れながら話してくれた。
美姫『それで好きになっちゃったのね。』
そんなことされたら好きになっても仕方ないか。
夏妃『違う。』
ん?
夏妃『それが理由じゃなくて…
もっと前…
美姫がアイツと付き合うより前から気になってたの。』
わたしと俊が付き合うよりも前って…
そんなに前から…!?
美姫『夏妃あんまり俊の事よく思ってないのかと思ってた。』
別れてから俊がわたしに近づいてきた時怒ってるような感じだったから…
夏妃『そりゃ私の幼なじみを脅して無理やり付き合ってたなんて…怒るに決まってるでしょ!』
あ〜…まぁそうか…。
美姫『でも今は好きなんだよね♪』
夏妃『ちがっ……
…~~まぁそういうことになるのか…な。』
やっと認めた。
美姫『わたし応援してるから!
頑張ってね!!』
それから2人で恋バナをした。
夏妃と恋バナってなんか新鮮…
蒼との事も最近まで秘密にしてたから
恋バナなんてしなかったし
夏妃も今まで恋愛に興味ないと思ってたし…
夏妃は美人さんだから告白される事もあるけど
キッパリ断っちゃうからなぁ…
だから夏妃と恋バナをする日が来るなんて思わなかった。
恋バナで盛り上がってると
ガラガラガラッ!!
詩織『美姫~~~!!』
俊『どーも☆』
拓真『お前らうるせーよ!
柊も黙ってないでなんか言えよ。』
柊『…こいつらには何言っても無駄だろ。』
ドアが勢いよく開き
詩織・俊・柊・拓真が来た。
詩織『あれー?夏妃いないと思ったら
先に来てたんだ~! 』
いつもどおり騒がしい詩織。
詩織『そういえばさぁ~…
昨日夏妃としゅんしゅんなにしてたの~?』
やっぱそれ聞くよね。
…てか
「しゅんしゅん 」ってなにそれ。
この前は
「山瀬っち」って言ってなかったっけ?
夏妃『別になにも。
てかなにその変な呼び方。』
詩織『だってさ~
美姫たちが名前で呼んでたから
「じゃああたしもっ♪」みたいな!』
だったら普通に名前で呼べばいいのに…
俊『夏妃ちゃんも名字じゃなくて
「しゅんしゅん」でいいよ☆』
夏妃『嫌です。あんたたちバカじゃないの。』
夏妃~…
さっきまでかわいかったのに
本人の前でその態度じゃダメだよ。
いつもみたいに
詩織と俊がふざけてるのを笑ってると
ガラガラガラ
五十嵐先生『美姫ちゃん今いいかな?』
おじさんが来た。
なんだろ…
なんか嫌な予感がする。