~ 蒼 side ~
美姫がいない。
さっきまで俺のすぐ近くにいたのに…
なにやってんだよ俺は
こうなると困るから
手を繋ごうとしたのに。
あのとき無理やりにでも繋いどけば…
でも過ぎたことを後悔してても意味ない。
みんなで手分けして探すことになり
俺も必死に探してると
♬♪。.:*・゜♬
電話がなり画面をみると
「松本 詩織」。
…なんだ。
美姫かと思ったんだけど…
そんなことを考え出ると
詩織『せんせ〜〜今どこ〜?
美姫見つかったから早くこっち来て〜!』
…え!?
蒼『美姫見つかったの?』
詩織『そうそう!だから早く〜!!』
まじかよ。
でも見つかったならよかった。
はぁ…
安心して体の力が抜けた。
電話を切り急いで松本たちのところへ行くと
……ん?
松本と高木だけ?
蒼『美姫は?』
詩織『あ〜美姫ね〜
なんか向こうにいるっぽいよ〜!』
…「っぽい」?
っぽいって…
え…なにそれ。
詩織『拓真がいるから大丈夫だよ♪』
五十嵐と…一緒…?
…余計に心配なんだけど…
だって五十嵐は…
美姫のこと…。
…まぁ五十嵐が変なことするとは思わないけど…。
柊『…美姫体調よくないみたいで
それで行っただけだから安心しろよ。』
高木が小声で教えてくれた。
体調悪いって…
大丈夫かよ。
柊『…拓真がいるから大丈夫だろ。
アイツなら色々対応できるからな。』
すごい信用されてるみたいだけど…
やっぱ心配だろ。
蒼『美姫どこにいんの?』
少しでも早く美姫のとこに行きたくて…
逢いたくて居場所を聞くが
詩織『せんせ〜こっちこっち〜〜!!』
屋台の前でこっちに来るように手招きしてる。
そんなことしてる場合じゃないんだけど。
蒼『そんなの後でいいから早く行くぞ。』
詩織『も〜せんせ〜わがままだなぁ〜。
美姫なら大丈夫だから!!
いろんなの買ってってからでいーじゃん!』
わがままって…
俺は早く美姫のとこに行きたいんだけど…
…でも松本の勢いに負け買い物をすることに。
そう言えば…
さっきから杉本と山瀬の姿が見当たらないな。
蒼『杉本と山瀬は?』
柊『…別行動。』
へ?
なんで?
詩織『さっき電話したらね〜
別行動したいんだって〜。
あの2人今頃なにしてるんだろーねぇ〜?』
ふーん…
あいつらってそんな関係だっけ?
…まぁどうでもいいけど。
買い物を済ませ美姫たちのいるとこに行くと
…いた。
五十嵐と楽しそうに話してる。
こうやってみると
美男美女でお似合いのカップルみたいだな。
…って
なんか距離近くね?
さっきと雰囲気が…
行こうか迷ってると
松本がどんどん2人のもとへ行ってしまったので俺も後につづき
美姫のもとへ。
俺の存在に気づくと
美姫はぱぁーっと嬉しそうな笑顔をして
美姫『蒼っ!!』
パタパタと小走りで駆け寄ってきた。
蒼『体調は?大丈夫?』
美姫『え?…あぁ〜……もう大丈夫だよ。』
体調が悪かったのを知られたくなかったみたいだな。
…まぁ見た感じ顔色もそんなに悪くないし大丈夫か。
でも…
蒼『なんで言ってくんなかったの?』
五十嵐じゃなくて俺に言って欲しかった。
美姫『…心配かけたくなくて…ごめんね?』
……ほんとはもっと色々言ってやろうかと思ってたのに
そんな素直に謝られたら言えないだろ。
蒼『…いいよ。
その代わりあとで俺の言うこと聞いて?』
美姫『え?いいけど…なにを?』
蒼『ヒミツ。』
それからごはんも食べて時計をみると
19時30分。
20時までに病院に戻らないとだから
そろそろ帰らないとだな。
車のとめてある駐車場に行くには
あの人混みの中に入らないと行けない。
またはぐれたら困るし…
蒼『ほら、手貸して。』
手を伸ばし繋ぐように言うけど
美姫『…でも……』
また迷ってる。
言いたいことはわかるけど
さっきみたいになったら困るんだよ。
また後悔しないように
強引に手を繋ごうとすると
グイッ
え?
美姫の手をとったのは
美姫『…拓真?』
…五十嵐だった。
なんで五十嵐が…
拓真『…また迷ったら困るだろ?
それに…紺野とだと周り気にしないとだけど
俺となら大丈夫だろ?
やだった?』
美姫『…やじゃないけど…』
拓真『ん。じゃあ行くぞ。』
そういって美姫の手をひいて行ってしまった。
…なんなんだよ。
確かに俺と美姫の関係はバレたら困るし
かと言ってまたはぐれるのも困る。
でも…
五十嵐と美姫が手をつないでるところなんか見たくない。
…俺大人気ないかな。
ほんとは俺が美姫の手をしっかり繋いでたかったけど
五十嵐の言ってることは事実。
だから何も言えずに二人の姿を後ろから見ていた。