~拓真 side~
好きな人に
『好きな人いないの?』
って聞かれたらどうすればいいんだろう?
『いる』
って言ったらすげぇ驚いてたな。
自分がその好きな人だなんて思ってもないんだろうな…
だって俺の気持ちに気づいてるなら
『付き合ってるの?』とか
『気持ち伝えないの?』とか
言わないだろ?
美姫は
『拓真モテるじゃん!
かっこいいし、運動神経いいし何より優しい
から大丈夫だよ。』
って言うけど…。
いくらモテたって
かっこよくたって
運動神経がよくたって
好きな人に…
美姫に好きになってもらえなきゃ意味ない。
『大丈夫だよ。拓真はおすすめの物件だから!
わたしが保証する。』
そんなキラキラした笑顔で言われても…
物件って…
俺は家かよ。
そんなに大丈夫だって
おすすめの物件って言うなら…
『このおすすめの物件もらってくれる?』
気がついたらそう口に出していた。
……俺なに言ってんだろ。
美姫はアイツ…
紺野のことが好きだって
ついさっき本人の口から聞いたのに…
美姫…困ってるよな。
なんてごまかそう…
そう考えていると
詩織たちが来た。
たくさんの荷物を抱えて。
拓真『お前ら探してなかっただろ。』
詩織『だって柊が拓真が見つけたから買ってくかって言ったんだもん!』
え?
なにそれ。
柊をみると無言でグーと親指をたてている。
俺何にもいってないのに…
すげぇな。
美姫のほうをみると
嬉しそうに紺野と話している。
やっぱ好きなんだな。
美姫の顔を見ればすぐにわかる。
美姫と紺野の2人をみてると
たこ焼き食べさせてあげたりしてる…
……いいな。
そんなことを考えぼーっとしてると
詩織『あーん♡』
すごい笑顔の詩織が俺の目の前でたこ焼きを持ってる。
…これは
そういうことだよな…?
拓真『いらね。』
詩織『えぇ〜せっかく詩織ちゃんがあーんしてあげようとしてるのに〜』
拓真『いらねぇから。』
お前のじゃないんだよ。
…てか
量多すぎだろ。
『これ食べる?』
…また詩織かよ。
ほんとしつこい。
文句を言ってやろうと声のした方をみると
…美姫だった。
美姫『ねぇ?聞いてる?』
拓真『…あぁ、わりぃ。もらっとく。』
残念ながらあーんではなかったけど
美姫からもらったってだけで
それだけすごくおいしく感じた。
花火が20時から始まり
ちょうど美姫の部屋から見えるから
その前に病院に戻ることになっている。
あとはこの人混みを抜けて帰るだけ。