~美姫 side ~


学校から病院に向かって歩いてると


詩織『ねぇねぇ!みんな成績どうだった〜?』


成績を見せ合うのはわたしたちの恒例行事みたいなもので毎回見せ合ってる。


夏妃『そういう詩織は?
どうだったの?』


詩織『あたし?あたしはねぇ〜…』


そういって成績表を出してきた。


詩織の成績は…

国語2・数学1・英語1・理科2・社会1
家庭科2・保健1・体育4


『・・・・・・・・』

悪いとは思ってたけど

ここまでとは…

1が4個もあるし…

やっぱ詩織は体育しか…

…ってあれ?

体育が4!?

詩織なら5だと思ったのに…


拓真『相変わらず悪いな。
でもお前なら体育5とれたんじゃねぇの?』

詩織『だよねぇ!あたしも思った!
でもね〜筆記もあったの忘れてて…
実技はよかったんだけど…』

あ〜…

なんか納得。

…でも…


美姫『筆記っていろんな競技のルールわかってれば出来るんじゃないの?』


詩織『え?あたしルールなんてわかんないよ?』

はい??

何言ってるの?

だってルールわかんないと…


拓真『それじゃできねぇだろ。』


スポーツって細かいルールたくさんあると
思うんだけど…


詩織『え?わかんなくてもできるよ?
だってさ〜野球はボール投げたり打ったりすればいいし、サッカーとかバスケだってゴールにボール入れればいいしさ〜!』

……たしかに言われて見ればそうだけど…

そうなんだけど…

言い返せない。


柊『そんなんだからか4なんだよ。』

詩織『うーるーさーいー!!
そういう柊はどうだったのよ〜?』

あーあ…

柊にそんなこと言ってどうなっても知らないよ?

柊の成績は…

国語4・数学5・英語5・理科5・社会5
家庭科4・保健3・体育4


『・・・・おぉ・・・!!』


思わずみんなで言ってしまった。

やっぱ柊はすごい。

国語が5じゃないのは

「作文書くのがめんどくさいから」。

だから作文もちゃんとやれば5いけると思うんだけどなぁ…

それでもこんなに成績いいなんて…

羨ましすぎる…

詩織もなにも言えずに固まってる。

そりゃそうだよね。

こんなすごいの見ちゃったらなんにも言えないよ。

柊『…見せたけど?』

詩織『……すごいね。』

はい…詩織の負け。

まぁ…自業自得だよね。


拓真『ざまーみろ。…夏妃は?』


夏妃『私はねぇ…』


夏妃の成績は…

国語5・数学4・英語5・理科4・社会3
家庭科2・保健3・体育3


やっぱ夏妃もすごい。

家庭科を除けば…

特に国語と英語は柊よりもすごいくらい。


詩織『家庭科悪いね〜!』

それ詩織がいう?

夏妃『確かに家庭科悪いけどあんたにだけは
言われたくない。
あんただって家庭科2でしょ!』

拓真『いや、でも国語とか英語はさすがだな。
…次は俺か。』

拓真の成績は…

国語3・数学5・英語4・理科4・社会3
家庭科2・保健4・体育5


……拓真だってじゅうぶんすごいじゃん。

夏妃『あれ?拓真って保健そんなによかった?』

そういえば…

前は悪いくらいだったのに…


拓真『美姫に教えてもらったし…
覚えとけば将来役に立ちそうだからな。』


美姫『わたし役に立てたみたいでよかった〜。将来の事まで考えてるなんてえらいね!』


今まで保健とか興味なかったのに

「医者になる」

って言ってくれてから保健にも真剣に取り組んでたし…

本当にお医者さんになろうとしてるのが伝わってくる。


詩織『そりゃそうだよねぇ〜?
だって美姫に教えてもらったんだから
いい結果ださないと…ねぇ?』

ニヤニヤ笑ってる詩織。

拓真『うるせーよ!』

なんかよくわかんないけど2人で言い合ってる。

夏妃『美姫は?』


美姫『わたし?えーっと…
国語3・数学2・英語2・理科3・社会3
家庭科5・保健5・体育2だよ。』

詩織『えーっ!体育2!?なんで?
授業出てないのに!』

体育の授業は出てないから実技の得点はない。

でも…

拓真『筆記?』

美姫『うん。』

詩織は筆記があったから4だったけど

わたしは筆記があったから2になれた。

夏妃『やっぱ保健と家庭科は美姫が1番だね。』

それくらいしかできるのがないからね。

そんな話をしてると


『みーきちゃんっ!!』


後ろから声をかけられ振り向くと


美姫『あ…山瀬くん。』

山瀬くんだった。

夏妃『何の用?』

夏妃が私をかばうようにわたしと山瀬くんの間に入った。

山瀬『夏妃ちゃん怖いよ?
もしかして聞いてない?
俺たち別れたんだけど。』

夏妃『え!?そうなの?』

黙って頷く。

拓真『別れたのになんで美姫んとこ来るんだよ。』

なんか…

みんなピリピリしてる…?

山瀬『友だちなんだから来たっていいだろ?』


『はぁ!?友だち!?』

柊はいつもの無表情だけど
拓真と詩織と夏妃はびっくりしてる。

山瀬『ね?美姫ちゃん♪』

美姫『う、うん…』

拓真たちが驚いてるのがすごいわかる。

詩織『いいの?
紺野先生とのこと脅して来た人だよ?』


………え?

今…なんて…


夏妃『ちょっ…詩織それは…』


え…まさか……


美姫『みんな…知ってたの?』

みんなが困った顔をしてる。

詩織『だって美姫わかりやすいんだもん!』


…てことはやっぱり…

蒼とのことみんな知ってたんだ…!

柊『…気づいたの詩織が最後だったけどな。』

夏妃『何年一緒にいると思ってんの?』


…やっぱ怖いな〜…

おそるべし幼なじみ。

これを知ってたから

わたしを脅してる山瀬くんにキツかったんだ…

今頃になって気づいた。


美姫『あの…わたしのこと嫌いになった?』

これが怖くて言えなかった。

拓真『こんなんで嫌いになるわけねぇだろ。…そんな簡単に嫌いになれたら苦労しねぇよ。』

詩織『だよねぇ〜♪
拓真は特にそうだよねぇ〜♪』

拓真『だからうるせーよ!』

柊『…詩織あんまからかってやるなよ。』


普通に話してるみんな。


なんか嬉しくて涙腺が緩んでいくのがわかる。


夏妃『美姫?こんなことで私たちが離れるとでも思ったの?
離れるわけないでしょ!』

夏妃のその言葉で今までこらえてた涙が一気に溢れ落ちた。

詩織『あ〜!夏妃が泣かしたぁ!!』

夏妃『えぇっ!?私が悪いの!?』


そんなみんなの話を聞いてると

なんだか安心して…

気づいたら笑ってた。


柊『…泣いたり笑ったり忙しいな。』


ハンカチを渡して珍しく笑ってる柊。


みんなで話してると


山瀬『皆さん?俺の事忘れてません?』


あ…
すっかり忘れてた。

夏妃『美姫がいいなら私達はいいけど
次変なことしたら許さないから。』

夏妃…怖いよ…?

わたしの為に怒ってくれたのは嬉しいけど。

山瀬『はいはい。
てゆーかさ…美姫ちゃん入院中じゃなかった?』

うっ…

拓真『抜け出してきたの。』

山瀬『へぇ…美姫ちゃんやるねぇ♪』

よかった。
山瀬くんは大丈夫そう。

美姫『でしょ♪』

ビシッ

拓真『「でしょ♪」じゃないだろ?』

頭を軽く叩かれ怒られちゃった。

美姫『はーい。』

拓真にお説教されてると

詩織『ねぇねぇっ!
山瀬くんは成績どうだった?』

山瀬くんの成績を見させてもらうと…


『・・・・・・・・』

これは…

なかなかの…

おバカ。

詩織と同じくらい。

体育はいいけど…あとは…

ほんと…詩織とそっくり。

そこから詩織と山瀬くんはなんか
意気投合して盛り上がってた。

柊と夏妃は呆れてて…


夏妃『詩織クラスがもうひとりいたよ…』

柊『…だな。』

夏妃『これは…
私たちが見ないとだよね。』

柊『……あぁ。また勉強会だな。』

こっちもこっちで
どうやってあの二人に教えようか盛り上がって?る。

わたしと拓真も詩織と山瀬くんや
夏妃と柊をみて話していた。


拓真『また勉強会やることになりそうだな。』


美姫『だねぇ 。数学やだなぁ…』


拓真『俺が教えてやるよ。
だから保健は頼むな。』

美姫『りょーかいっ!』


太陽がキラキラ眩しい
夏の熱い道を歩き
病院に向かった。