~美姫 side ~


あ〜…

緊張したぁ。


てゆーか…

今日抱きしめられたり

お姫さまだっこされたり…

思い出すだけでドキドキして

体が熱い。

最近蒼に触られてなかったから余計に

ドキドキした…

わたし…たぶん顔赤い…

あれ以上蒼といたら

もっと赤くなっちゃいそう

だから逃げて来ちゃった。

ホントはもっと…

もっといたかったけど…

誰かに見られちゃったら困るしね。


火照った顔を手で冷ましながら

廊下を歩いてると


蒔田『あら、桜空さん?』


げ…

もう教室にいると思ったのに

…厄介な人に会っちゃったな。



こういう時はとりあえず…


美姫『あ!蒔田先生おはようございます。』


ニコッと営業スマイル♪


大抵の人はこれやっとけばうまく行くしね。


蒔田『はい♪おはようございます!
…あれ?桜空さん今入院中じゃないんですか?』


営業スマイルのおかげでごきげんの蒔田。


でもやっぱ入院のこと聞かれちゃった。

聞かれるとは思ったけど…

…どうしようかな。


美姫『あぁ〜そのことなんですけど…
外出許可もらったんです!』


これで信じるかな…?


蒔田『あらそうなの!?
よかったわね!
私も桜空さんに会いたいなと思ってたんですよ!』


信じたよこの人。

病院抜け出したのバレると思ったけど…

…やっぱこの人生徒のこと何にもわかってない。

心配してるフリだけ。

さっきも

「会いたい」

って言ってたくせに

病院には1回も来なかったし…

ほんとに心配してるなら来るんじゃないの?


そんなことを思って

教室の前まで行き蒔田がドアを開け

わたしも中に入ろうとすると


蒔田『あ!みんなに配るプリント職員室に
わすれちゃった!
…取りに行くから教室で待っててくれる?』

美姫『はーい!』



営業スマイルで蒔田を送り教室に入ると



『美姫っ!!』



1番に声をかけてきたのは


拓真だった。


いろいろ聞かれそうだなぁ…



拓真『なんでここにいんの?病院は?』


…やっぱそう思うよね…


詩織『なになに〜美姫退院したの!?
おめでとぉ〜〜!!』

詩織たちも来て話に入った。

相変わらず詩織は…

何と言うか…

単純?それともバカ?

そんなの思ってるの詩織くらいだと思うよ?


柊『…違うだろ。』

夏妃『どうしたの?なんかあった?』


ほら…

やっぱ詩織以外はわかってるんだよ。


美姫『えーっと…外出許可もらったの!』


ほんとは外出許可もらえなくて

抜け出して来ちゃったんだけど…

そんなの言ったら怒られちゃう。


詩織『外出許可もらったんだぁ〜!
良かったねぇ!!』


よかった…信じてもらえた。

でも肝心なのは…

拓真・柊・夏妃なんだよなぁ…

3人には全部わかってそうで怖いんだよなぁ…


恐る恐る3人を見ると


柊『…そんなわけないだろ。』

夏妃『詩織あんたこんな嘘信じるんじゃないの!』

拓真『…はぁ…抜け出して来たのか。』


…やっぱりバレてました。


詩織『えぇ!?嘘なの!?』


詩織…

詩織のそういうところ好きだよ。


夏妃『ずっと一緒にいるんだからいい加減
わかるでしょ!?
美姫の嘘はわかりやすいんだから!』


夏妃…それちょっとひどいよ?

そんなにわかりやすいのかな?


柊『…本当に外出許可もらってるなら
拓真にも伝わってるはずだろ?
拓真が知らないってことは…
そういうことだろ。』


おぉ…さすが柊…

そんな柊たちに感心してると


♬♪。.:*・゜♪。♬


拓真のケータイがなった。


誰だろ?

…もしかして

おじさん?

なんか嫌な予感がする。


拓真が電話に出ると


拓真『…うんいるよ…うん…わかった。』


…嫌な予感的中。

電話の相手は…


美姫『…おじさん?』


拓真『そ。…やっぱ抜け出してたんだな。
病棟大騒ぎで親父も心配してたぞ。』


あーあ…

バレちゃった。

拓真たちにはわかってたみたいだけど…

まだ病院に戻りたくないな…


美姫『おじさんなんだって?』


拓真『「学校終わったら戻ってきて。」だって。』

学校終わったら?


…ってことは


美姫『まだ帰らなくていいの?』


拓真『いいよ。
1人で帰らす方が心配だし

てっきりすぐに帰れって言われると思ったのに…

でもやった。


美姫『ありがとっ!』


それから蒔田が戻ってきて


ながーい話聞いて

成績表もらって

後は帰るだけ。


支度をしてると一件のメールが…

相手は…

「蒼」

内容は


『仕事が残っててまだ帰れそうにないから
一緒に行けない。ごめん。』

仕事大変そうだなぁ…

少し残念な気もするけど…

2人でいるところを誰かに見られたら

困るもんね。

それに拓真たちもいるし…


『全然大丈夫だよ!
病院は拓真たたちも来てくれるから心配しないで』


そう返信していつものメンバーで学校をあとにした。