~拓真 side ~
はぁ…
退屈。
美姫がいないだけで一気に学校がつまらない。
無理して倒れられても困るけど…
やっぱ美姫がいないと…
学校につきぼーっとしてると
詩織『なんでそんな顔してんの?
あたしが傍にいるのに〜。』
お前がいてもなんにもなんないし。
てか…
さっきから隣でギャーギャーうるさい。
黙ってると
夏妃『あんたはうるさいだけでしょ!』
詩織『え〜…じゃあ美姫の代わりになるねっ!』
…は?
コイツ…何言ってんの?
詩織はケータイをしばらく触ってたかと思ったら
詩織『たくまぁ〜あたしがいないと寂しいのぉ〜?』
美姫の写真を俺に見せながらそう言ってきた。
…それ美姫のつもりかよ。
全然違うし。
そんな話し方じゃないし。
ただ呆れることしかできなくて
いつも詩織につっこんでくれる柊と夏妃に
助けを求め2人をみてみた。
けど…
夏妃はもちろんあの柊まで呆れてて…
『……………』
3人とも何も言えなかった。
詩織『なんでみんな黙ってるの〜!?
なんか言ってよ〜〜!!』
だって…なぁ?
さすがに…
俺には手に負えない。
夏妃『…恥ずかしいからやめなさい。』
柊『…てか美姫そんなにキモくないし。』
詩織『え〜〜!!
キモいって…ひどっ!!
美姫こんなんだよ!』
2人から注意されても全然へこたれない詩織。
てか…
美姫はあんなんじゃねぇし。
柊『…詩織?
…それ美姫に失礼だから。』
さすが柊。
詩織『柊までっ!
せっかく拓真を元気にしてあげようと
思ったのに〜!!』
そう言ってくれるのはありがたいけど…
詩織が美姫の代わりになるわけないだろ。
…詩織に限ったことじゃないけど…
美姫はいないけど…
やっぱこいつらといると落ち着くんだよな。
詩織はバカでくだらないことばっかしてるけど
みてて飽きないし
夏妃と柊のつっこみ?もおもしろいし…
詩織・夏妃・柊の会話を聞いて
笑ってると
『…拓真くん……ちょっといい?』
ん?
誰?
声のした方を見ると
…林だった。
林とは林間学校で美姫の悪口言われてから
話してないんだよな…
なんか…気まずい。
あまり人が来ない場所まで行くと
林『…あの……』
しばらく黙ってた林が話し出した。
…もしかして
また美姫のこと悪く言うつもりなのか…?
林『……まだ美姫ちゃんのこと好きなの?』
やっぱその話か。
そろそろはっきり言った方がいいよな…
拓真『…好きだよ。
林さんが言ったとおり美姫は
普通の人と違って体が弱いし
今だって入院してる。
…でもそんなとこも含めて好きなんだよ。』
自分で言ってて恥ずかしかったけど…
本心はちゃんと言えた。
林を見ると
泣いてる…?
声をかけようとした時
林『…ほんとは…
美姫ちゃんの悪いところ見つけて
拓真くんに諦めてもらおうと思ったのに…
美姫ちゃんの悪いところ…
体が弱いとこしかなくて…』
泣きながら話している林。
林『私が足をケガした時も湿布貰ってきて
くれて…
美姫ちゃん熱あるのに…』
あぁ…
美姫は自分が体調悪いのに
自分のことなんか後回しで他の人を優先するから…
他人の心配するのはいいけど
自分のことを優先してほしいんだよな・
林『林間学校が終わったあとも何回も
連絡くれて…
すごい心配してくれて…』
…美姫らしいな。
林『ほんと…いい子だね。
拓真くんが好きになるのわかっちゃった。
私じゃ美姫ちゃんに勝てないな…
…拓真くんのこと好きになってよかったよ。』
目がなくなるくらい笑った林の目からは
今まで必死にこらえてた涙が
頬をつたっていった。
林『…私の好きな人になってくれて
ありがとう…!!』
今までみた笑顔よりも最高の笑顔で
そう言って走っていってしまった。
林の後ろ姿をみてると
山瀬『…拓真くんモテモテじゃん。』
!?
拓真『…なんでお前がいるんだよ。
…お前のほうがモテんだろ。』
山瀬『俺?
サボろうと思って…
ここにいたら拓真くんたちが来たからさ〜。
俺はあそこまで真剣に告白されたことないし。』
ここにいたってことは…
さっきの聞かれてた…?
山瀬『「私の好きな人になってくれてありがとう…!!」ねぇ〜
林すごいね〜!』
…やっぱり。
山瀬『拓真くんもかっこよかったよ。
「俺…そんなとこも含めて美姫のこと好きだから。」って。』
そこも聞いてたのかよ…
恥ずかしいんだけど。
山瀬『拓真くんが美姫ちゃんのこと好きなのは
よーーくわかった。
…じゃあ俺たちライバルだね〜。』
……ん?
今なんて言った?
山瀬『あ、そうそう!
俺たち別れたから。』
………!?
拓真『え!?なんで…』
だって山瀬は美姫を脅してるんだろ…?
なのになんで…
山瀬『なんでって…
好きだからに決まってるでしょ。』
は?
なに言ってんだ?
好きだったら別れる必要ないだろ。
山瀬『今度はちゃんと付き合いたいからね。
…まぁそんなわけだからよろしくね拓真くん♪』
そう言ってどこかへ行ってしまった。
よくわかんないけど…
山瀬と別れて美姫は自由になって
山瀬は美姫のことが好きで…
あ〜…
色んなこと一気に聞いてよくわかんねぇ…
そんな状態で教室に戻ると
詩織『あ!拓真来たぁ〜!
早く来てよっ!!』
またなんか騒いでるな…
詩織1人で。
…なにやってんだ?
珍しく夏妃も興奮してるし。
3人のところへ行くと
机の上にはたくさんの写真が…
拓真『なにこれ?』
詩織『林間学校の写真!
はい!これ拓真のね!!』
そう言って封筒を渡してきた。
中を見ると…
5人で撮ったのや
帰りのバスで勝手に撮った
俺と美姫の写真。
他にも
料理中の美姫
笑ってる美姫
寝てる美姫
熱で寝込んでる美姫
てか…美姫ばっかなんだけど。
しかもほとんど隠しどり。
詩織『ふふふ〜♪
どう?気に入った?』
ニヤニヤしながら聞いてくる。
拓真『これ隠しどりだろ。』
詩織『もっちろん!』
ドヤ顔で自信満々な様子の詩織。
夏妃『これ美姫知ってるの?』
詩織『んー…知らないんじゃない?』
おいおい…
夏妃『怒られても知らないからね!?』
詩織『だいじょーぶ!
バレなければ!!』
ほんと…
コイツは…
なにしてんだか。
柊『……それ盗撮だな。』
詩織『違いますー!
拓真の為にしたのっ!』
は?
そんなの頼んでないし。
詩織『美姫の写真欲しかったでしょ?
それに〜夏妃と柊だって
拓真と美姫のツーショット欲しがってたじゃん!』
珍しく詩織が正しいことを言ったから
みんな返事に困ってしまった。
そんな時
ドアがあいて先生が来た。
もう一人を連れて…