~美姫 side~
目が覚めると
わたしのまわりには蒼・拓真
そして…おじさんがいた。
点滴もして
五十嵐先生から言われたのは
「入院」。
あーあ…
また入院…
この前退院したばっかなのに。
入院すると嫌なことたくさんあるし
痛いこともたくさんするし…
なにより…
学校に行けない。
だからやなんだよなぁ…
蒼も会議があるって帰っちゃうし…
はぁ…
ため息が出る。
今部屋の中にはわたしと拓真だけ。
「帰りたい 」
なんて言っても聞いてくれない…よね。
てゆーか…
体…あつ…
頭もぼーっとするし…
座ってるのがキツくなり横になると
拓真『…美姫?熱計って?』
体温計を渡してくるけど…
熱があるのはわかってる。
熱が高いことも。
高いのがわかったら帰らせてもらえない
どころか退院がのびちゃう。
そんなのやだ。
でも…
体は正直なんだよね…
わたしはしぶしぶ体温計を受け取り
熱を計ると
「39,3℃」。
うわぁ…
たかっ…!
拓真『見せて?』
こんなのみせれないよ…
拓真に渡せずにいると
わたしの手から体温計を取り
拓真『39.3℃って…高すぎ。…熱いだろ?』
黙って頷いた。
いつもはみんなに心配かけたくなくて
熱があっても
体がキツくても
「大丈夫」
って強がってるけど…
今は体が熱くて
頭もぼーっとしてて…
そんなのどうでもいい。
拓真『…そんなになるまで無理すんなよ。
…後で親父が薬持ってきてくれるから待ってて?』
拓真はわたしが倒れたり調子が悪いと
いつも悲しそうな顔をする。
でもわたしに心配をかけたくなくて
悲しそうな顔で笑う。
その顔をみてると
拓真が泣いてるみたいで抱きしめたくなる。
だからそんな顔しないでよ…
こっちまで辛くなっちゃうじゃん。
そんな拓真をみてたら
抱きしめてた。
拓真『美姫!?ちょっ…急にどうした!?』
美姫『…そんな顔しないで。
拓真はなにも悪くないんだから…』
拓真『…俺そんな変な顔してた?』
美姫『……ん。してたよ。』
拓真は昔からわたしのことになると
異常なほど心配して
もっと子どもの時なんて
わたしが倒れたり
痛い検査して泣きそうになってると
拓真はみてるだけなのに
泣きそうになっておじさんに
『美姫をいじめんなよ!!』
って言ってたっけ…
優しいんだよね。
なんか思い出してると面白くて
笑ってると
拓真『どうした?』
美姫『…なんでもない。』
拓真のことで笑ってるとなんて言ったら
拗ねちゃいそうだし…
拓真『なにもなくて笑うわけないだろ。』
……たしかに…
んー…じゃあ…
美姫『…教えるからわたしのお願い聞いてくれる?』
拓真『なに?お願いって。』
それは…
美姫『これ終わったら家帰っていい?』
点滴を指さしながら聞くと…
拓真『だめ。』
即答で断られた。
美姫『えー…』
ほっぺを膨らませてぶーぶー
文句を言ってると
拓真『あたりまえだろ。
こんな状態の人帰すわけねぇだろ。』
…こうなるとは思ったけど…
もう少しねばってみよ。
美姫『寝てれば大丈夫だもん。
…たまにはわたしのお願い聞いてよ。』
拓真『いつも聞いてますけど?
…てかたまには俺の言うことも聞いてよ。』
…またその顔…
そんな顔されたら
わがまま言えないよ…
美姫『…わかった。入院する。』
入院はいいけど…
せめて夏休みまでの一週間は
学校行きたかったな…
今まであんまり学校行けなかったから
少しでも行きたいのに…
…そうだ!
いいこと考えちゃった…♪
それをするためには早く熱を下げないと
だし体調をよくしないと。
じゃあ…
今は拓真やおじさんの言うこと素直に聞いてよ。
…早くあの日にならないかな〜♪
それからの一週間の間
わたしは
おじさんの言うことも素直に聞いて
部屋で大人しくしてた。
そして…
明日から学校は夏休み。
わたしは…
学校にいた。