~拓真 side ~
次の日。
今日で林間学校は終了。
支度をしてあとは帰るだけ。
美姫は…
いつもどおり
『大丈夫』
しか言わないけど
そんなの嘘だってことはわかってる。
バスに乗っちゃえばあとは帰るだけ
なんだけど
バスまでの道が…
美姫にはキツそうだな。
…よし。
拓真『美姫。ほらこっち来な。』
背中に乗るように言うけど
美姫『え…いいよ!
わたしより若菜ちゃんにしてあげなよ!
足ケガしてるんだから。』
え…
林とはあれから気まずいんだよなぁ…
俺が黙ってると
林『私ならもう大丈夫だから
美姫ちゃん…体調悪いんでしょ?』
美姫『わたしも大丈夫だよ〜。』
林が気をつかってくれたのに
大丈夫って…
全然大丈夫そうにみえないんだけど。
俺が言おうとした時
柊『嘘つけ。』
柊が代わりに言ってくれた。
美姫『嘘じゃないもん。』
そんな顔で言われても説得力ないんですけど。
詩織『美姫がいいならあたしが
代わりにおんぶしてもらっちゃうよ?』
は?
なんでそうなるんだよ。
俺は別におんぶしたいわけじゃないんだけど。
つーか…
お前はどこも悪くないんだから歩けよ。
柊『体重オーバーだろ。』
詩織は太ってるわけではないけど
やせてるとは言えない。
美姫が細いから
身長は同じくらいでも隣にいると
余計に太って見える。
柊『詩織のことはどうでもいいから
…美姫、おんぶってもらえよ。』
美姫『……うん』
そう言って俺の背中に乗った。
俺と美姫の荷物は柊が持ってくれた。
詩織『あたしもおんぶしてくれてもいいよ?』
アイツ…
また柊に何を言ってんだよ。
呆れてみてると
柊『…無理。』
詩織『えーいいじゃーん!』
柊『…行くぞ。』
さすが柊。
相変わらず詩織の扱いがうまい。
さて俺たちも行きますか。
歩きはじめると
美姫『…重かったらおろしていいからね?』
拓真『大丈夫。』
全然重くないし。
てか相変わらず軽すぎ。
やっぱまだ熱いな。
美姫の熱が背中から伝わってくる。
しばらく歩いてると
美姫『……スゥー………ハァー……』
………寝てる?
落ないようにしっかり支えてないと。
バスにつき席に座る。
美姫は俺の肩に寄りかかって寝てる。
なかなか起きない美姫の寝顔をみてると
カシャ
ん?
何の音だ?
周りをキョロキョロしてると
前の席から詩織が顔を出した。
拓真『なにやってんだよ。』
詩織『いいの撮れちゃった♡』
ニヤニヤ笑いながらカメラを見せてきた。
拓真『お前は…何をしてんだよ。』
詩織『これいらない?』
……それ言われると…
欲しいに決まってるだろ。
拓真『………いる。』
なんか照れくさくて小声で言った。
詩織『やだ〜拓真かわいいんだけど〜♡
ねぇ柊?見てよ〜!』
うるせぇよ。
てか柊になに聞いてるんだよ。
柊『……あぁ、かわいいな。』
うぇ…
柊までなに言ってんだよ。
拓真『柊…まじでやめて。
吐き気するから。』
柊『冗談だよ。』
真顔でそんな冗談言うなよ。
夏妃『あんたたちうるさいんだけど。
何してんの?』
俺たちの後ろから夏妃が覗いてきた。
詩織『あ!夏妃見てよこれ〜!』
さっきの写真を見せてる。
いろんな奴に見せてんなよ。
夏妃『詩織いいの撮ったね!
これ私にもちょうだい!』
おいおい
夏妃さん?
お前まで…
そんな会話をしてると
学校に到着。
美姫を起こし
まだ半分寝てるような美姫をつれて
帰ろうとすると
紺野に呼び止められた。
蒼『お前ら送ってってやるから乗れ。』
美姫がこんな状態じゃそのほうがいいな。
拓真『…あぁ頼む。』
そんなわけで俺たちは紺野に送ってもらう
ことになった。