~美姫 side ~


拓真と蒼が出ていき

部屋にはわたしと山瀬くんの2人になった。


昨日のお礼しないと。

起き上がろうとすると


山瀬『寝てていいよ。大変だろ?』


そう言って寝させてくれた。


美姫『……ありがと。』


お礼言わないと。

でも…

ほんとに山瀬くんが助けてくれたのかな?

正直まだ半信半疑。

でも、拓真が嘘つくとも思えないし…

とにかく聞いてみよう。


美姫『昨日…山瀬くんがわたしを
助けてくれたの?』

山瀬『そうだけど…
覚えてたの?
美姫ちゃん意識もうろうとしてた
から覚えてないと思ったんだけど…』

あの時のことはほとんど覚えてない。

溺れて誰かが来てくれたことまでしか。

美姫『拓真が教えてくれたの。
………ありがとね。
助けてくれて。』

山瀬『どういたしまして。
…それよりさ、これみてよ。』

そう言ってケータイを出して

画面を見せてきた。

その画面には…


山瀬くんがわたしを脅す時に使った

蒼との写真。

美姫『…それどうするの?』

まさかまた脅すつもり?

山瀬『んー…こうするの。』

そう言って山瀬くんの手が画面の


「削除」ボタンに触れた。


え…!?


画面には


「削除されました」の文字。


美姫『え!?消したの?』

思わず起き上がってしまった。

山瀬『うん。』

「うん」って…

だってそれがなくなれば…

美姫『その写真がなければ
もう脅せないよ?』

わたしと蒼が付き合ってる証拠が

なくなった今

山瀬くんがわたしを脅せる物はない。


山瀬『別にいいよ。
もう脅すつもりないし。』

それなら…

美姫『もう別れてもいいってことだよね…?』

山瀬『そういうことになるね。
……ん〜じゃあ別れる?』

そんなの…

美姫『うんっ!』

それしかない。

今までだって好きで付き合ってたわけじゃないし。

あの写真さえなくなればもう別れられる。


山瀬『そんなに喜ばれると
さすがに傷つくんだけど。』

美姫『だって…
脅されて付き合ってたんだから
嬉しいに決まってるじゃん!』

山瀬『ははっ。そりゃそうか。
…てか脅してないんだけど?』

いやいや

あれは完全に脅しですよ山瀬くん?

美姫『絶対脅しだよ!』

山瀬『悪い悪い。
じゃあ別れたってことで…


俺と付き合ってください。』


はい?


美姫『ねぇ…山瀬くん?
わたし達たった今別れたよね?』


山瀬『うん。』

だったらなんで?

山瀬『もう1度…
今度は真剣に俺と付き合ってほしい。』

美姫『…なんで……?』

山瀬くんならかっこいいしモテるから

わたしなんかよりいい人たくさんいるのに。


山瀬『なんでって…
そんなの美姫ちゃんが好きだからに
決まってるじゃん。』

山瀬くんが…わたしを……?

いやいやいや

そんなわけないよ。

美姫『そんな冗談言わないでよ。』

山瀬くんのことだから

わたしの反応みておもしろがってるんだ。


山瀬『冗談じゃないんだけど。』

…!?

山瀬『最初は暇つぶしになればいいと 思ってたんだけど
美姫ちゃんは他の女子と違くて
俺に好かれようとしなくて…』

美姫『脅されてるのに好かれたいなんて
思わないでしょ。』

山瀬『ははっ…確かにな。』

笑ってる山瀬くんをみて

こっちまでつられて笑ってしまった。

山瀬『…とにかく
俺は美姫ちゃんのことが好きだから
付き合ってほしいんだけど…いい?』

最初に山瀬くんと付き合った時よりは

嫌いではなくなってる。

でも


美姫『……よくない。』


山瀬『そんな断り方されたのはじめてだわ。
てか正直…ふられたのもはじめてなんだけど。』

確かに山瀬くんがふられた話

聞いたことないな。

てか山瀬くんが告白した話も。

山瀬『あんな奴やめなよ。
教師と付き合っててもいいことないよ。』

いつになく真剣な表情。

教師と付き合っててもいいことなんてない


確かにそうかもね。

それでもわたしは…


美姫『好きだから。
辛いこともあるかもしれないし
いいことなんてないかもしれないけど…
それでも好きなの。』

山瀬『そんなに好きなんだ…?』

頷くわたし。

山瀬『完敗。
美姫ちゃんにここまで言わせるって
紺野先生…すごいわ。』

寂しそうな顔で笑ってる。

美姫『でしょ♪』

わたしも笑って返事する。、


山瀬『…やっと笑ってくれた。』

美姫『へ?』

なんのこと?

山瀬『俺といるとき笑わなかったからさ。』

…あぁ…そういうことか。

山瀬『あのさ…
美姫ちゃんの好きな人には
なれなかったけど…
友達はどう?』

「友達」…

それなら

美姫『もちろんいいよ。』


山瀬『…よし!じゃあこれからよろしくな!』

ニカッと笑ってる山瀬くんの顔…

改めてみると

やっぱりかっこいい。

笑った顔は…

かわいい。

そりゃモテるよね。

じーっと顔をみてると


山瀬『なに?惚れちゃった?
まだ返事OKだけど?』

はぁ〜…

呆れてため息が出る。

美姫『バカなこと言ってないで早く帰んなよ。』

手で早く帰れとやる。


山瀬『もう帰るって。
そうそう…
ふられたからって諦めた訳じゃないから。』

ん?

今なんて言った?

山瀬『紺野と別れたらいつでも
俺のとこにおいで。』

そう言って部屋を出ていった。


なんだったんだろ…?

てか別れないし!

別れたとしても山瀬くんのとこに

行かないし!




そしてわたしと山瀬くんは別れ


友達になった。