~拓真 side ~
足をケガしてる林を背負い部屋まで戻ると
だれもいない。
柊たちは先生に呼ばれてたけど…
なんで美姫まで…
あとで電話してみるか。
部屋につきソファーに林を座らせると
林『…ごめんね。ありがとう。』
申し訳なさそうに謝ってきた。
拓真『別にいいよ。足大丈夫?』
しゃがんでケガのした足をみると
まだ少し腫れてる。
林『まだ痛いけど…大丈夫だよ。』
やっぱ痛いよな。
こういう時美姫なら
どんなに痛くても
『大丈夫』
って言うんだよな…
痛いなら痛いって言えばいいのに。
拓真『そっか…』
林の隣に座りケガのした足をどうするか
考えてると
林『……ねぇ…拓真くん…』
ん?
拓真『どうした?』
林『…告白の返事考えてくれた?』
…そのことか…
林は確かにかわいいし控えめで
みんなが彼女にしたい気持ちは
わからなくもない。
でも…
拓真『…ごめん。
やっぱ俺…林とは付き合えない。』
俺には美姫がいる。
美姫以外の人と付き合いたいなんて思わない。
林『…そんなに美姫ちゃんが好き?』
拓真『…うん。』
林『…私じゃダメなの?』
そんな顔でそんなこと言われると
返事に困るんだよなぁ…
でもちゃんと言わないと。
拓真『…うん。』
林『…なんで美姫ちゃんなの…!?』
え?
林『美姫ちゃん病人じゃん!
普通の人じゃないんだよ!?
学校だってよく休んだりしてるし
体育もできないじゃん!
いつも拓真くんに迷惑もかけてて…
あんな子のどこがいいの!?』
急にそんなことを言い出すからびっくりした。
それと同時にすごく悲しくなった。
林は美姫のことそんなふうに思ってたのか…
拓真『俺、美姫のこと迷惑なんて思った
こと1回もないけど?』
心配はしてるけど
迷惑とか思ったことはない。
全然迷惑じゃない。
むしろもっと頼ってほしい。
林『…でもっ…!』
まだ美姫のこと悪く言うのかよ。
拓真『…ごめん。
これ以上美姫のこと悪く言うのやめて…』
俺のこと悪く言うのは構わない。
でも美姫のことは悪く言わないで欲しい。
誰だって好きな人の悪口言われたらいい気は
しないだろ。
林『……美姫ちゃんは拓真くんのこと
好きじゃないんだよ?』
………
そんなことずっと昔からわかってる。
美姫は俺のこと
「男」
としてみてない。
「幼なじみ」・「家族」
としてしかみてない。
そんなことわかってた。
美姫との関係を壊したくなくて
何回も諦めようとした。
けど…
諦められなかった。
だからもう諦めることを諦めた。
自分に嘘はつけないから。
俺は…美姫が好きだから。
拓真『知ってるよ。
それでも諦められないんだ。』
林『……………なんでっ…』
ガラガラガラ
話してる途中でドアが開いて誰か入ってきた。
ドアの方に目を向けると
…美姫と紺野だった。
…なんで一緒なんだ?
疑問に思ってると
美姫『若菜ちゃん!
足、大丈夫?
湿布もらってきたし
紺野先生連れてきたから診てもらお!』
いないと思ったら林の為に湿布もらってきて
くれてたのか。
………って……
美姫、顔赤くね?
拓真『美姫?体調悪い?』
と聞くが
美姫『ううん。大丈夫!』
…いつもの返事。
蒼『なに言ってんだよ。
…五十嵐、コイツ熱あるから
布団用意してやって。』
…………は?
美姫『ちょっと!何言ってるの!』
美姫は否定してるけど…
急いで美姫のおでこを触ると
…熱っ
拓真『熱いじゃん。何度?』
美姫『…37.2』
そんな低いわけ…
蒼『38.3℃だろ。』
美姫『余計なこと言わないでよ!』
…やっぱな。
てか…38.3℃って…
…なんで気づかなかったんだよ…
ずっと傍にいたのに気づかなかったとか…
何やってんだよ俺…
拓真『…とりあえず寝てな?体大変だろ。』
紺野が林の足をみてる間に
美姫を寝かせた。
美姫『…拓真……』
拓真『ん?なに?』
美姫『また迷惑かけちゃってごめんねぇ…』
今にも泣きそうな顔で謝ってくる。
だから迷惑じゃないんだけど。
ただ、心配なんだよ。
そんな謝んなよ。
謝るのは俺の方なんだから…
拓真『俺もごめん。気づかなくて…』
美姫『なんで拓真が謝るの?
拓真はなんにも悪くないじゃん。』
だって…
美姫『おじさんには言わないでね?
それと…わたし帰らないから。
みんなと一緒じゃないと帰らないから!』
あ〜それでまた無理してたのか。
本当は親父に言わないとだし
できれば病院に連れて行きたいんだけど…
まぁ、病気が悪化してる感じじゃないし
…慣れないところで疲れが溜まっちゃったかな
拓真『わかったからもう無理はしないこと。』
美姫『…ん。』
紺野も来て冷えピタや氷枕をもらい
話していると
山瀬『美姫ちゃーん。』
またお前か…
でもコイツには昨日の借りがあるし
美姫もお礼言いたいだろうし…
拓真『俺ら出てるから。
なんかあったら呼んで?』
そう言って紺野を連れて部屋から出た。