~蒼 side ~
ハイキングも無事に終わり
部屋に戻って仕事をしていると
コンコン
部屋のドアがノックされた。
誰だ?
蒼『どうぞ?』
入ってきたのは…
美姫『失礼します。』
美姫だった。
蒼『美姫!?どうしたんだ?』
昨日もめてから何も話してない。
美姫『林さんが足をケガしたので
湿布もらってもいいですか?』
…湿布?
なんだ…
俺と話したくて来たんじゃないのか…
てか…
その話し方なんだよ。
今は俺たち2人しかいないから
いつもの話し方でいいのに。
蒼『…湿布…ね。……はい。』
美姫『ありがとうございます。では…』
湿布を受け取るとすぐに出てこうとする美姫。
なんなんだよ…その態度。
いつもの美姫は
表情豊かで
学校でもどこでも敬語なんか使わなくて…
今、俺の前にいる美姫は…
無表情。
他の教師と話してる時のような敬語。
なんでだよ。
俺が昨日あんなにキツく言ったから?
気づいた時には
美姫の腕を掴んでいた。
体が勝手に動いてしまった。
美姫『……なんですか?』
またその話し方…
蒼『その話し方やめて。』
美姫『なんで?』
なんでって…
蒼『…俺が嫌だから。』
美姫『…………………』
黙ってしまった。
蒼『ごめん。俺が悪かった。』
…言えた。
後ろからだと美姫の顔がみえないから
どんな顔してるか…
顔を覗こうとすると
美姫『もういいから気にしないで。
……わたし行くね。』
手をほどいて帰ろうとする。
……あれ…まだ怒ってる?
蒼『ちょっと待てって!』
美姫の腕をひっぱり顔をみると
……顔…赤い…?
蒼『…美姫お前…』
おでこに手をあてると
熱い。
蒼『熱あるじゃん。』
美姫『……ないよ。』
ないわけないだろ。
だって
蒼『熱いじゃん。』
美姫『……蒼の手がおかしいんじゃないの?』
そんな訳ないだろ。
どんな言い訳だよ。
蒼『…なら』
美姫を連れソファーに座らせて
体温計を渡した。
蒼『測って。』
美姫『……やだ。』
………はぁ〜…
蒼『なんで?』
美姫『……熱ないから。』
そんな赤い顔してなに言ってんだよ。
蒼『熱ないならいいじゃん。』
美姫『……いや…』
本当…
手のかかる彼女だな。
五十嵐先生も苦労してそうだな…
しょうがない。
蒼『ちょっと我慢してて?』
美姫の服の下から体温計を入れると
美姫『…んっ…!…やっ!』
嫌がり体温計を外そうとする。
蒼『だめ。あと少しだから我慢。』
抵抗する美姫を抱きしめ
体温計が外れないようにしっかりおさえといた。
ピピビピッピピビピッ
よしなったな。
美姫から体温計をとってみると
「38.3℃ 」
あらら…
蒼『熱あんじゃん。』
美姫『その体温計壊れてるんじゃない?』
まだ認めないのかよ。
蒼『いい加減認めなさい。』
美姫『………帰るのがやなの。
蒼『なにが?』
美姫『…熱あるの言ったら帰らせられる
かもしれないから言いたくなかったの。』
そっか…
蒼『…わかった。
帰らせないから。
だから今日はもう休んで。』
美姫『……わかった。』
蒼『よし。
行くか。送ってくから。』
抱きかかえようすると
美姫『いいよいいよ!
1人で帰れるから。』
こんな状態で1人で歩かせれないだろ。
蒼『いいから。ほら。』
来るように手招きする。
美姫『それはダメだよ。
…誰かに見られたら困るでしょ。』
……そうか
とくに黒木に見られたらヤバいな。
蒼『んー…
じゃあ部屋まで送ってくから。』
そう言って冷えピタと氷枕と…
必要なものを持って美姫の部屋まで行った。