~拓真 side ~


美姫の目が覚めて安心して

思わず弱音を吐いてしまった。

美姫の前では弱音を吐きたくなかったのに…


そんな俺を美姫は小さな体で

ギュッと抱きしめ

美姫『大丈夫だから。
わたし…死なないから…
ずっと傍にいるよ。
今までみたいに
これからもずっと一緒。
…だから自分を責めないでよ…』

そう言って強く抱きしめられた。


俺…

なにやってんだよ。

今回のことだって1番怖くて辛かったのは

美姫なのに…

そんな美姫に慰められて…

俺が慰める立場なのに…

本当、情けねぇ。



次の日。

目を覚まし昨日の夜のことを思い出していた。

……そういえば

俺、美姫に抱きつかれてた。

あのときはそんなこと考えてる余裕なんか

なくてそんなこと思わなかったけど…

今になってドキドキしてきた。


美姫とどんな顔して会えばいいんだろう…

だんだん緊張してきた。

美姫が起きた。

…………

………いつもどうりの美姫。

まぁ…そうだよな。

なんとなくわかってたけど

自分だけドキドキして

緊張して

美姫もそうかもしれないとか

勝手に期待してた自分が恥ずかしくなる。

美姫にとって俺は

ただの「幼なじみ」でしかないんだよな。

そんなこと昔からわかってるのに

やっぱりドキドキしちゃってる。


林間学校二日目の今日は

ハイキング。



支度をしてハイキングに出発。


配られた地図を頼りに歩いていく。


拓真『大丈夫?』

美姫の顔を覗く。

美姫『……それ何回目?』

クスクス笑ってる。

拓真『だって…』

昨日あんなことがあったんだから

いつも以上に心配になるだろ。

美姫『だいじょーぶだってば。』

さっきからそれしか言わない。

美姫はいつでもそうだから

余計に心配なんだよ。

順調に進み残り少し。

柊や夏妃のおかげで

ここまで迷いもせず

問題で困ることもなく

順調に来れた。


林『いたっ…』

ん?

拓真『どうした?』

林『…足ひねっちゃったみたい…』

足か…

あと少しでゴールなんだけどなぁ…

どうするか…

美姫『若菜ちゃん大丈夫!?
ちょっと見せて?
……あ〜ちょっと腫れちゃってるね…
ん〜…そうだ!
拓真おんぶしてあげてよ!
荷物ならわたしが持つからさ。』

……え?

林のことは嫌いではないけど…

美姫の前でそんなことするのはちょっと…

拓真『ちょっと待てって…』

美姫『拓真は将来お医者さんになるんでしょ?
だったら目の前の人を第一にしないとダメ
だよ。』

そうだけど…

てか俺が医者になるのは

美姫の為なんだけど。

林『いいよいいよ!
拓真くんに悪いし…』

美姫『若菜ちゃんはそんなこと
気にしなくていいの!
拓真なら大丈夫!
これでも力あるんだから!
…ね?拓真。』

………美姫に言われたら断れねぇじゃん。

拓真『…わかったよ。林ほら。』

林が俺の背中にのり

荷物を美姫が持とうとすると

柊『俺が持つから。』

柊がさりげなく美姫から

荷物をとり持ってくれた。

林が俺の背中にのってる…

美姫より少し重い。

つか美姫が軽すぎなんだよ…

それより

さっき荷物を渡すときの美姫の手…

なんか熱かったような…

気のせいか。

あとでちゃんとみてみるか…

それから少しで歩き無事にハイキングは

終わった。