~拓真 side ~


帰ってくると美姫がいない。

夏妃に聞くと

『のぼせたから風にあたってくる』

と言って海に行ったらしい。

美姫が行ってからもう時間が結構経っている。

ケータイも預けてて連絡もとれない。

…嫌な予感がする。

拓真『俺、美姫探しに行ってくる。』

そう言って急いで海に向かった。



…着いた。

辺りを見回す。

……ん?

あそこに人影が…

……二人いる…

1人は……山瀬?


もう1人は………美姫!?

しかもなんか様子が…

ぐったりしてる…

てか…意識ない!?


おい、それやばいだろ!

急いで2人のところへ走った。


拓真『美姫っ!!』

美姫は山瀬に抱き抱えられて

海から出てきた。

全身びしょびしょ…

顔色も悪いし。

山瀬『…拓真くん。』

拓真『おい!なにがあったんだよ!
お前…美姫に何したんだよ!』

山瀬『ちょっと待ってよ。
俺は何もしてないよ。
美姫ちゃんについてきたら
溺れてたから助けただけ。』

お前がなにもしてないならなんで…

美姫は海に入るの怖がってたから

自分からは入りたがらないのに…

拓真『……じゃあなんで…』

山瀬『たぶん…突き落とされたんだと思う…。』

突き落とされた?

拓真『突き落とされたって…
誰にだよ!』

山瀬『「黒木麻子」だと思う。』

黒木麻子…?

拓真『お前のクラスのか?』

山瀬『あぁ。』

でもなんで黒木が美姫を突き落とすんだよ。

山瀬『黒木のことは後で説明するにして…
とりあえず今は美姫ちゃんを
なんとかしないと。』

そうだった。

美姫がなんでこうなったのか

すごい気になるけど…

今はそれよりも美姫をどうにかしないと。

拓真『そうだな。
…山瀬…美姫を助けてくれて
ありがとな。
お前がいなかったら
どうなってたか…
あとは俺がみるから
お前は着替えてこいよ。』

本当…

コイツがいなかったら…

考えてたくないけど

死んでたかもしれない。

山瀬『美姫ちゃんのこと頼むわ。
俺も後で行くから。
……黒木のことも話したいし。』

拓真『あぁ…あとでな。』

山瀬とそこで別れ俺は

ぐったりしてる美姫を抱き抱え

部屋に早足で帰った。

冷た…

急いで着替えないと風邪ひいちゃうな。


ガラガラガラ!!


詩織『拓真~美姫いたぁ?
って!美姫!?』

夏妃『ちょっとなにがあったの!?』

拓真『理由はあとで話すから布団と
着替え準備してくんない?』

着替えは女子に任せ

俺は布団を敷き

着替えの済んだ美姫を寝かせた。

熱もないし脈も安定してるから

あとは目が覚めればいいんだけど…

詩織たちに話そうとすると

ガラガラガラ!

山瀬『美姫ちゃんは!?』

拓真『寝てる。』

あれから急いで着替えてきたらしい。

すごい慌てて来たのがわかる。

山瀬『大丈夫なのか?』

拓真『……たぶんな。』

山瀬『はぁ~…よかった…』

コイツ…

もしかして本当に美姫のこと…

詩織『なにがなんだかわかんないんだけど…
山瀬くんさぁ~
あんなことしといてよくあたしたちの前に
来れたね。
美姫がこうなったのもあんたのせいじゃないの?』

……詩織…こえーな。

確かに俺もコイツのこと嫌いだったけど…

いや今も好きではないけど…

今回はコイツのおかげで美姫が助かったからな…

拓真『あのさ…』

俺はさっきまでのことを詩織・夏妃・柊に話した。

林がいなくてよかったな。

いたらいろいろヤバイからな。

俺が知ってるところまで話すと


詩織『山瀬くんが美姫を助けてくれたの!?
ありがとぉ~~~!!』

……変わり身はやっ。

今はそれよりも…

拓真『山瀬…さっきの続き。』

それが聞きたいんだ。

山瀬『……あぁ。』

そこで俺たちは

なんで美姫がこうなったのか聞いた。



………まじかよ…

夏妃『…それ本当なの?』

山瀬『あくまで俺の推測だけど…
黒木が美姫ちゃんを突き落としたのは
本当だよ。
俺見てたし。』

なんでそんなことするんだよ。

美姫がなんかしたのかよ…

詩織『ちょっと意味がわかんないんだけど!
なんで黒木さんが美姫を突き落とすわけ!?』

山瀬『たぶん…
黒木は…紺野先生のこと好きなんじゃないの?
…で紺野先生と美姫ちゃんが付き合ってるの
知っておもしろくなくて嫌がらせした…とか?』

それなら納得がいく。

でも…

夏妃『それにしてもやり過ぎじゃない?
だってもし山瀬くんが来なかったら
どうなってたかわかんないんだよ!?』

拓真『とりあえず今は美姫の目が覚めるのを
待たないとだな。
それからだろ。
黒木のこととかは。』

そこで一旦解散して山瀬は帰り

みんなで美姫の目が覚めるのを待った。


しばらくして林が帰ってきたから

簡単には説明した。、


寝るときも本当なら

男子と女子はふすま越しで寝ることに

なってるけど美姫になにかあったら

困るから隣で寝させてもらうことに。

林以外は昔からの付き合いで慣れてるし

みんなもそのほうがいいって言ってくれた。

美姫になにがあっても大丈夫なように。

隣で寝ている美姫の寝顔を見ながら俺も寝た。