~美姫 side ~
お風呂から出ると
……ない…
蒼からもらったブレスレットが。
お風呂に入る前まではあったのに…
どうしよう…
夏妃『どうしたの?』
美姫『わたしのブレスレット知らない?』
夏妃『いつもつけてるの?』
美姫『うん…』
夏妃『お風呂入る前にそこに置いてあったよね?』
そうなんだけど…
出てきたらなくなってた…
拓真たちと合流して詩織たちが卓球を
してる間もブレスレットのことが
頭から離れない。
大事にしてたのに…
どうしよう…
♬♪。.:*・゜♬
メール…蒼だ。
なんだろ…?
メールの内容は
『話したいことがある。
海まで来て。』
…話したいこと?
なんか嫌な予感がする…
…でも
ちゃんと話さないとだよね。
…行こ。
美姫『ちょっと外行ってくるね。』
夏妃『どうかしたの?』
…なんて言おう…
とりあえず…
美姫『ちょっとのぼせちゃったから
外の風にあたりたいの。』
夏妃『え、大丈夫?私も行こうか?』
心配してくれるのは嬉しいけど…
美姫『大丈夫だよ。すぐに戻るから。』
今夏妃について来られると困る。
夏妃たちに言って
急いで外に出て海へ向かった。
……蒼どこ?
キョロキョロと辺りを見回してると
『蒼先生なら来ないよ。』
誰?
後ろを振り返ると…
美姫『黒…木……さん?』
なんでここに黒木さんが…?
黒木『桜空ちゃんって…
蒼先生と付き合ってるんだよね?』
!?
なんで黒木さんが知ってるの…?
…とにかく
今は否定しないと。
美姫『違うよ?』
黒木『ふふっ…別に隠さなくてもいいよ?
そんなのとっくに知ってるから。』
この子なんなの…
一体なにがしたいの…?
黒木『えっと…
率直に言うと…
蒼先生と別れてくれない?』
は!?
なんで黒木さんに言われなきゃなんないの。
美姫『だからわたしと先生は何も関係ないよ?』
黒木『いい加減認めれば?
てかさ…さっき先生からメール来たでしょ?
あれ送ったのわ・た・し♪
だからいくら待っても来ないよ。』
え…
美姫『なんでそんなこと…』
黒木『なんでって…
そんなの桜空ちゃん、
あんたが邪魔だからに
決まってるじゃん。』
邪魔?
黒木『あんたがいるせいで先生…
私のことみてくれないんだよね。
だから別れてよ。』
黒木さんも蒼のこと好きなんだ。
でも…
美姫『ごめんね。それはできない。』
わたしのほうが蒼のこと好きなの。
ずっと好きで好きで…
やっと今の関係になれたの。
そんな簡単には別れない。
…別れたくない。
黒木『あんたさぁ…
病人なんでしょ?
そんな体で蒼先生といて
恥ずかしくないの?
てか…
こんな子と付き合ってる蒼先生が
かわいそうなんだけど。』
何も言い返せない。
悔しいよ…。
美姫『…確かにわたしは病人で
黒木さんみたいな普通の体じゃないよ。
でもね、こんなわたしのこと
蒼は受け止めてくれたの。
好きだって言ってくれたの。
だからわたしからは別れは言わない。』
よし。
言いたかったことはちゃんと言えた。
蒼から別れを言われたら
嫌だけど別れる。
でもわたしからはそんなこと言わない。
黒木『…ちっ…
……これ……あんたのだよね?』
ポッケから出したのは
なくしたと思ってたブレスレット。
!?
美姫『なんでそれ持って…』
ヒョイッ
ポチャ
わたしが言い終わる前に
ブレスレットは宙を舞い海の中へ落ちた。
!?
服が濡れるとか
泳げないとかそんなこと
考える暇なんかなく
急いで海へ走った。
……どこ…?
無我夢中で探してると
美姫『……あったぁ~!』
よかったぁ~~
一安心して立ち上がり砂浜へ戻ろうとした時…
ドンッ!!
後ろから勢いよく押された。
!?
そのまま体勢が崩れ全身が海の中に入ってしまった。
やばい…
でも足さえつけば大丈夫。
…………足が…つかない…
どうしよう…
浴衣が重いし泳げないし…
苦しい…
そろそろ息が…
………意識が遠くなってく…
このまま死んじゃうのかな…
意識が曖昧になってく中…
誰か来た…?
拓真?
そこでわたしの意識は途切れてしまった。