~美姫 side ~
山瀬くんと帰ることになっちゃった…
拓真は用事があるって言ってたから
しょうがないけど…
詩織たちと帰るのも断るなんて…
はぁ…
なんか憂鬱だなぁ…
♬...♪*゚♪。.:*・゜♬
メール…詩織からだ。
詩織『ちょっとちょっと!!
さっきのなに!?
山瀬くんと付き合ってるなんて
聞いてないんですけど!
あとでじーっくり聞かせてもらうからね♡』
………
なんて説明すればいいんだろう…
拓真にも聞かれると思うし…
ほんとのことなんて
絶対に言えない。
だって脅されて付き合ってるなんて
言ったら
蒼と付き合ってることもバレちゃう…
ごまかすしかない…よね。
この後のことを考えていると
山瀬『美姫ちゃん。ほら帰ろ。』
そう言って手を出してきた。
…これって…
手を繋ぐってことだよね・・・?
…やだ。
差し出された手を無視して歩き出す。
山瀬『美姫ちゃん?
ほら。俺たち付き合ってるんだから。』
後ろからついてきて強引に手を絡ませてくる。
美姫『ちょっ…!やめて!』
ほどこうとするけど
しっかり繋がれてて離れない。
山瀬『だーめ。
付き合ってれば手くらい繋ぐだろ?』
……………
もう諦めよ。
言うこと聞かないと何するかわかんないし。
家までの我慢。
家に着くまでの間山瀬くんは
話しかけてきたりしたけど…
適当な返事だけ。
こんな人と楽しい会話なんてできないもん
家に着いた。
やっと解放される。
美姫『それじゃバイバイ。』
手を離し帰ろうとしたけど
離れない。
美姫『離して。』
山瀬『やだ。まだ一緒にいたい。』
美姫『やだ。もう家についたし。』
山瀬『美姫ちゃん冷たいなぁ。
いいじゃん。まだ一緒にいようよ。』
いや。
なんでまだいないとなのよ。
美姫『ごめんね。わたしこんな女なの。
こんなの嫌でしょ?
だから……別れようよ。』
そうすればもうこんな思いしなくてすむ。
こんな愛想なくて冷たい子と付き合ってても
山瀬くんも嫌でしょ。
山瀬『やだよ。別れない。』
…なんでよ。
別れてよ。
山瀬『美姫ちゃんは俺のこと嫌い?』
そんなの
美姫『うん。』
即答で答える。
山瀬『ははっ。まぁそりゃそーだよな。』
脅されてるのに好きなわけないでしょ。
山瀬『じゃあ…俺のこと好きにならせる。』
………は?
この人なに言ってるの?
美姫『悪いけど…山瀬くんのこと
好きになるなんてありえないから。』
そう。
絶対にありえない。
山瀬『ふーん…ありえない…ねぇ〜…。
いいねぇ。おもしろいよ美姫ちゃん。』
…バカにしてるの?
山瀬『…とりあえず
美姫ちゃんの家にあがらせて♪』
美姫『無理。』
そう言うとわたしの手から鍵をとって
部屋まで行ってしまった。
美姫『ちょっと!』
ガチャ
勝手に家に入っていく。
美姫『ねぇ!やめてよ!』
後ろからついていき出てくように言うけど
出てく気配ない。
すると急にこっちに振り返ったと思ったら
チュッ
…………!?
急いで離れると
山瀬『付き合ってるんだからいいだろ。』
いいわけないでしょ。
蒼以外の人とキスなんて ……
すごい罪悪感…
美姫『はやく帰って。 』
山瀬『…はいはい。
じゃあ帰る前にトイレ貸して。』
やっと離れた…
はぁ〜
ため息が出る。
ふと机をみると…
山瀬くんの荷物と…
ケータイ。
ケータイ!?
あの写真のデータが入ってるのだ!
今行ったばっかだし…
大丈夫…だよ…ね…?
急いでケータイをとりあの写真を探す。
…ない……
どこ?
中々見つからない…
早くしないと…
…………あった!!
早くこの画像を消さないと…
「消去」ボタンを押そうとしたとき
後ろからケータイがとられた。
美姫『……あっ…!』 』
山瀬『人のケータイ勝手に見ちゃダメでしょ?』
…………見つかっちゃった。
美姫『脅迫してる人に言われたくない。』
そうだよ。
そっちのほうが悪いよ。
山瀬『俺のは脅迫じゃないよ?
美姫ちゃんに選ばせたじゃん。
付き合うかどうか。』
それが脅迫でしょ。
そんなことを考えていると
ベッドに押し倒された。
美姫『ちょっと!離して!!』
手首を掴まれていて動かない。
山瀬『人のケータイ勝手に見る人には…
お仕置きが必要だよね。』
は?
逃げようとするけど
力が強くて逃げられない。
山瀬『それで全力?
体弱いとは聞いてたけど…
力も弱いんだ。』
どうしよう…
どうやって逃げようか考えていると
唇を塞がれた。
美姫『・・・・・んっ………』
…やだ…蒼以外の人となんて
山瀬『強情。
意地でも唇あけないつもり?』
美姫『そういうこと。』
山瀬『いいねぇ美姫ちゃん。
…ほんとはもっとしたいけど…
今日は帰るわ。
好きにならせる前に嫌われたら意味ないしね。』
やっと帰った…
てか…
好きにならせるって…
そんなことあるわけない。
わたしは急いで洗面所まで行き
何回も唇を洗った。
……蒼…逢いたいよ…