~拓真 side ~
授業も終わったし………
帰るか。
美姫の席へ行こうとすると…
『拓真くん!ちょっといい?』
後ろを振り返ると
同じクラスの
「林 若菜」(はやし わかな)。
見た目もかわいくて
女子にも男子にも人気がある。
性格も優しいしモテるのもよくわかる。
…俺は興味ないけど。
同じクラスだからたまには話すけど…
なんだろ…?
拓真『えっと…林さんなに?』
林『あの…ね……
拓真くん数学得意だから教えてほしい
んだけど……ダメ…かな?』
俺に?
てか…そんな言い方されたら断れない…。
拓真『いや…ダメじゃないけど。
俺でいいの?』
コクコク頷く。
教えるのは別に構わないけど…
美姫たちと帰れないな。
まぁ…たまにはいいか。
拓真『じゃあ美姫たちに先に帰るように
言ってくるから待ってて?』
そう言って美姫の方へ行き
拓真『美姫?俺ちょっと用事あるから
先に帰っててくれるか?』
美姫の顔をみると
なんか様子がおかしい。
体調が悪いわけではなさそうだけど…
拓真『調子悪い?』
美姫『ううん。大丈夫。
…じゃあ先に帰ってるね。』
やっぱり…
やっぱり一緒に帰ろうかな。
拓真『やっぱ一緒に帰るか。』
なんかあったら困るし。
美姫『だ、大丈夫だよ!
ほら用事あるんでしょ?
早く行きなよ。』
拓真『でも…』
用事なら断ればいいし…
とか考えていると……
山瀬『美姫ちゃんは俺が送ってくからいーよ』
山瀬?
なんで隣のクラスの山瀬がここに?
てかなんでお前が美姫を送ってくんだよ。
山瀬『あれ?美姫ちゃん拓真くんに
言ってない?』
…何を?
山瀬『俺たち付き合うことになったんだよ。』
はぁ!?
そんなことあるわけ…
山瀬『ね?美姫ちゃん?』
美姫をみると…
美姫『……う、うん。』
美姫の様子が明らかにおかしい…
山瀬『だから美姫ちゃんのことは
心配しなくていいよ。
俺がいるから。』
そんなこと言われても…
言い返そうとした時
林『拓真くん?』
林が声をかけてきた。
待たしてるんだった。
なんか納得できないけど…
拓真『わかった。
美姫気をつけて帰れよ。』
体調が悪いわけではなさそうだし…
大丈夫だろ。
山瀬のことは気にくわないけど…
あとで聞けばいっか。
美姫とそこでわかれ
林との勉強会が始まった。
拓真『待たせてごめんな?
…じゃあはじめるか。
どこ?わかんないの。』
机の正面に座り話す。
林『ううん。大丈夫だよ。
…えっと…ここなんだけど…』
拓真『あーここね。ここは…』
問題の説明をすると
すごい真剣に聞いている。
林『……わかった!』
理解力はあるな。
美姫はもっと時間かかるんだよなぁ…
他の問題も教えてると…
………何か視線を感じる。
拓真『…なんかついてる?』
林『ううん!なんでもない!!』
なんか…変だな。
まぁいいや。
勉強も終わり帰る支度をしてると
林『拓真くん!今日はありがとう!!
拓真くんのおかげで助かっちゃった!』
ペコペコお辞儀をしてニコッと笑う林。
拓真『別にいいよ。』
林『あの…ね。
拓真くんに言いたいことあるんだけど…』
なに?
林『拓真くんのこと好きなの。』
!?
拓真『え…!?』
林『ずっと拓真くんのことかっこいいなぁ〜
って思ってて…
好きになっちゃったの。』
………
気持ちがついてかない。
林が俺のこと好きなんて…
そう言ってもらえるのは嬉しい。
でも……
拓真『俺……好きな人いるんだけ……』
断ろうとしたとき
林『知ってるよ。
美姫ちゃんだよね?』
知ってたのか。
拓真『……うん。』
林『拓真くんみてればわかるよ。
…でもわたし諦めないよ!
まだ告白の返事も聞かない。
もう少し考えてみて?
わたし…拓真くんに好きになって
もらえるように頑張るから!』
そう言って走って帰ってしまった。
………………
俺……どうすればいいんだ…?