~美姫 side ~、


保健室から出て小走りで教室まで行く道のり

さっきのことを思い出してイライラしてた。

あの黒木って子なんなの?

蒼にベタベタして…

蒼もまんざらでもない感じだし…

そりゃ生徒に嫌な顔できないのは

わかるけど…

でも少しは抵抗してもいいじゃん。

そんなことを考えてイライラしてると




『みーーーーきちゃん♡』

誰かに声をかけられた。

だれ?

声のした方をみると…

この人は…


「山瀬俊」(やませしゅん)。

かっこよくて優しいから

すごくモテる。

あまり話したことないけど…

女子に大人気だから顔と名前はわかる。

そんな人がなに?

美姫『山瀬くん?』

山瀬『俺の名前知ってるんだ。』


だって有名人だもん。、


美姫『なんでわたしの名前…?』

話したことなんてほとんどないのに…

山瀬『知ってるよ〜。
桜空美姫ちゃん。
両親はいなくて一人暮らししてることも
体が弱い病弱な女の子ってことも。
……教師と付き合ってることもね。』

!?

なんでそのこと…

でも

バレるわけにはいかない。

隠さないと。

美姫『そんなに知ってるんだ。
最初の二つは正解。
でも…最後のは意味わかんないかな。』

そう言って先に行こうとすると

山瀬『隠すんだ〜。
まぁそうだよね〜。
教師と付き合ってるなんてバレたら困るもんねー。』

相手にしちゃダメだ。

無視して歩いていくと

山瀬『美姫ちゃん?
無視はひどくない?
ほらこれ見てよ。』

後ろからついてきてケータイを見せてくる。

画面を見ると…

蒼の車にわたしが乗ってる写真。

なんで…こんな写真…

思わずケータイに手を伸ばすと

山瀬『だーめ。
データ消すつもりでしょ。』

それで何するつもりなの…

美姫『それどうするつもり?』

山瀬『今はなにもしないよ。
美姫ちゃん次第かな。』

わたし次第って…?

山瀬『俺と付き合ってよ。』

はい?

なに言ってるの…?

そんなの

美姫『やだ。』

嫌に決まってるじゃん。

山瀬『ふーん…
これどうなってもいいの?』

写真を見せてくる。

これって…

美姫『脅迫してるの?』

山瀬『脅迫なんて違うよ?
美姫ちゃんの好きなようにすればいいよ?
…これがどうなってもいいならね。』

だからそれ…脅迫じゃないの…?

嫌だけど…

蒼に迷惑はかけたくない。


だから


美姫『…………わかった。』


蒼…ごめんね。

わたし…山瀬くんと付き合うことに

なっちゃった。

でもね

蒼のこと好きなのは変わらないよ。

だからわたしのこと信じててね。