~美姫 side ~
わたしの唇と蒼の唇が
もう少しで重なる――
そのとき
ピンポーン
思わず蒼から離れる。
…………だれ?
黙っていると
ピンポーン
また……
どうしようか悩んでいると
拓真『美姫?開けるぞ?』
え…拓真!?
ていうか…
やばっ…拓真合鍵持ってるんだった!
また倒れてるのかと思って心配してくれてるんだ…。
こんなところ見られたら…
慌てて返事をする。
美姫『ちょっと待って!今開けるから!』
とりあえず蒼が見つからないようにしないと…
美姫『蒼!こっちに隠れてて!』
強引にクローゼットの中に入れる。
蒼『え、ちょっと待っ…』
バタンッ
クローゼットを閉めた。
蒼がなにか言ってたけど…
今はそれどころじゃない。
蒼ごめんね…。
食べ終わった食器を片付け
蒼のくつを隠し
うん!これで大丈夫だよね…?
急いで玄関へ行く。
拓真を部屋に入れ
薬をもらいおじさんからの伝言を聞き
話していると相変わらずすごい心配
してくれてる。
大丈夫だって言ってるのに。
拓真『またこの前みたいに倒れたらどうするんだよ。』
って言われてしまった。
…まぁあんなとこ見ちゃったらそうなっちゃうか…
昔からよく倒れてたからなぁ…
拓真にはいつも迷惑かけてばっかだなぁ…
明日の約束して拓真は帰った。
ふぅ〜〜
一気に肩の力が抜けた。
もしバレたらどうしようかと
ヒヤヒヤした。
そのまま玄関にいると
後ろから抱きしめられた。
美姫『あおい?』
蒼『そ。クローゼットに押し込むなんて
ひどくない?』
あ………
美姫『ごめんっ!!
急に来たから…』
蒼『いいけど。
…なぁ、倒れたってなに?
いつ倒れたの?』
あ…蒼に言ってなかったんだよなぁ…
美姫『このまえみんなで勉強会してるときに
倒れちゃったの。』
蒼『そんな状態でテスト受けたのかよ。
倒れて当然だな。
でもそんな状態でよくあの点数とれたな。』
美姫『89点だったけどね。』
蒼『それでもすごいよ。
学年トップだし。
でも、もうあそこまで無理するのはダメ。
もしそんな状態でテスト受けて100点
とったとしても約束は無効だから。』
えぇ…
蒼『ほら行くぞ。』
ヒョイッ
軽々とわたしを抱き抱え歩き出す。
美姫『行くって……どこに?』
蒼『どこって…ソファーでさっきの続き♪』
さっき……?
……はっ!
思い出すと顔が熱くなる。
ソファーに座り蒼の膝の上に座らされる。
蒼の顔が………近い。
顔…みれない…
蒼『みーき。顔をみないとできないだろ?』
意地悪そうに
そして
楽しそうに笑ってる蒼。
美姫『目、つぶって。』
蒼『ん。はい。』
言われたとおりに目を閉じる蒼。
緊張しながら蒼の顔に…唇に近づく。
ドキドキドキ
心臓の音がうるさい。
わたしの唇が蒼の唇にかるく触れた。
蒼の唇から離れると
グイッ
蒼がわたしの頭を引き寄せる。
……!?
美姫『んっ………ふっ……』
蒼からのキス。
蒼の体温が伝わってきて
気持ちいい
さっきのキスとは全然違う
……深くて長いキス
……苦しい…
でも…好き
蒼の唇が離れる
美姫『はぁ…はぁ……』
蒼『よくできました。』
ニコッと笑ってる蒼。
笑った顔……かわいい
蒼『明日買い物行くんだろ?
気をつけてけよ。
知らない人についてくなよ。』
知らない人についてくなって………
美姫『わたしこどもじゃないんだけど。』
蒼『俺からしたらまだまだこども。』
むっ……
そっちがそういうなら……
美姫『わたしがこどもなら蒼はおじさんだね』
これでどうだ。
少し自慢げにしてると
ムニッ
ほっぺをつねられた。
美姫『いひゃい…にゃにしゅんの?』
蒼『なまいきなこと言う美姫が悪い。』
そう言って手を話した。
美姫『蒼だって言ったじゃん!』
蒼『だって美姫はまだまだこどもだから。』
美姫『違うもん!』
チュッ
……!?
蒼『ほらたったこれだけで赤くなってる。』
美姫『……////!!!』
蒼『な。だから美姫はまだこども。』
恥ずかしくてなにも言い返せない…
蒼『よし…そろそろ帰るかな。
今日はありがとな。また行こうな。』
頭を撫でながら帰る支度をする蒼。
支度が終わり靴をはいている。
なんか…寂しいな
ガチャ
あ…帰っちゃう
美姫『ま、待って!』
蒼『ん?どうした?』
美姫『…しゃがんで。』
不思議そうな顔をしながら
わたしの言ったとおりしゃがんだ蒼に
チュッ
恥ずかしくてそのまま
美姫『…ばいばいっ!!』
と言って蒼の返事を聞かずにドアを閉めてしまった。