~美姫 side ~
もうすぐ消灯の時間。
先生…来なかったな
約束守れなかったんだから当然だよね
でも来なくてよかったかも
拓真たちが帰ってからまた泣いちゃったから
目が腫れちゃってるんだよね。
ガラガラガラ
こんな時間にだれ?
看護師さんは呼ばないと来ないし
おじさん(五十嵐先生)もこんな時間に来ないし…
蒼『……美姫?起きてる?』
先生!?
なんで来たの?
約束守れなかったのに…
嬉しい気持ちも少しあるけど…
でも…
今は逢いたくない
話す気分になれない
だから…
寝たふり。
蒼『美姫?みーき寝てるの?』
美姫『…………………。』
寝たふりをしてるのに先生は帰ろうとしない。
どれくらいたったんだろ?
もう数十分はたってるよね?
先生はまだ帰る気配なし。
なんで?
わたし約束守れなかったんだよ?
美姫『……せんせ』
蒼『おぉ起きたか。』
ずっと起きてたけど
美姫『……なんで…』
蒼『ん?どうした?』
目をみられたくないから布団にもぐりながら
話す。
美姫『わたし……約束守れなかったんだよ?』
蒼『……そうだな。』
そうだなって…
なにそれ。
先生がお楽しみとか言うからすごい期待してたのに…
結果わかっててそんなこと…
なんかイライラしてきた
美姫『先生テスト結果知ってたよね?
知ってて「お楽しみ」とか言ったの?
全然お楽しみじゃなかった!
最悪だったよ!
あれのどこが「お楽しみ」なのよ!ねぇ!?』
もう目のこととかそんなのどうでも
よくて我慢してたこと全部先生にいった。
言っててまた涙が溢れ頬をつたう
先生は何も言い返さないで
蒼『ごめん。』
しか言わない。
なんでなにも言い返してこないの。
わかってる。
ほんとは先生はなにも悪くないってこと。
悪いのは全部自分。
先生を責めるなんて間違ってることも
わかってる。
なのに…
なんで黙ってるの?
なんか言ってよ…
こんな自分がいや…
美姫『もう帰って。
今は先生と話したくない。』
先生は帰ろうとしない。
蒼『悪いけど……まだ帰らない。
美姫は話したくないかもしれないけど
俺は美姫と話したいし一緒にいたい。』
さっきあんなこと言ったのに
八つ当たりしたのに
なんでそんな優しいの…?
また涙が溢れてくる。
蒼『そんなに嫌なら帰るよ。
美姫の嫌がることしたくないから。』
え…そんな…
イスから立ち上がり行こうとする先生の
スーツの裾をつかむ。
美姫『………行かないで』
すると先生はしゃがんで
泣いているわたしの前に
小さな箱を出した。
………え??
美姫『なにこれ?』
蒼『たんじょーびプレゼント♬』
そう言ってニカッと笑う先生。
美姫『え?だって約束…』
蒼『んー…まぁそれはしょうがねぇな。
だから教師としてのお祝いじゃなくて
これは彼氏としてのお祝いな。』
え?
美姫『いいの?』
蒼『あたりまえ。』
すごい嬉しくて一気に笑顔になる。
美姫『ありがと〜〜〜!!!』
また涙が……
蒼『ははっまた泣くのかよ。
それ開けてみ?』
これは嬉し涙。
箱を開けてみると……
ブレスレット?
美姫『ブレスレット?』
蒼『そ。その濃いピンクの石は
7月の誕生石で「過去を癒し未来へ幸福をもたらす」って意味があんの。
で、こっちの薄いピンクの石は
「恋人との出会い。真実の愛」って意味。』
そんな意味あるんだ。
知らなかった。
美姫『先生作ったの?』
蒼『残念ながら俺は石を選んだだけ。
作ったのはお店の人。』
でもそれって先生が作ってくれた
のと同じだと思う。
美姫『じゃあ…これってわたしだけの
なんだね♬』
なんかこういうの嬉しい。
蒼『そういうこと。どう気に入った?』
あたりまえでしょ。
美姫『うんっ!!』
蒼『ならよかった。』
さっそく手につけたり
眺めたりしてると
蒼『美姫誕生日おめでとう。
これから先ケンカすることもあるかも
だけど俺はずっと美姫のことが好きだよ。
なかよくしてこーな。』
急に抱きしめてきたと思ったら耳元でそう
呟く先生。
美姫『うん!
わたしも。なにがあっても先生のことが
好きだよ。 』
そこで
♬...♪*゚♪*゚♬
消灯の音楽。
まだ先生といたいのに…
そんなことを思っていると
蒼『なぁ美姫…
退院したらデート行くか。』
デート!?
美姫『行きたいっ!』
蒼『決定な。
行きたいところ考えとけよ
じゃあ……今日はもう寝ろよ?』
やった♬
美姫『はぁーい!』
先生が帰り部屋は一気に静かになった。
しばらくもらったブレスレットを眺めては
退院してからのことを考えにやけていた。
どこに行こうかな
とか
何を着てこうかな〜
とか…
退院もまだなのに…
でもこれで嫌なことを頑張れる。
今日は最悪な誕生日になると思ったけど
最高の誕生日になりました♡
先生
ありがとう。
だいすきだよ。
今までも
これからも
ずっと一緒にいようね。
そしてわたしは17歳になりました