~美姫 side ~

わたしの名前は桜空美姫(さくらみき)。

とくにかわいいわけでもなく地味というわけでもなくどこにでもいる高校2年生。


・・・あることを除いては。

わたしには家族がいない。

両親はわたしが5歳の時に事故で死んでしまった。

それから中学校を卒業するまでは幼なじみの家でお世話になり高校に入ってからは一人暮らしをしている。

幼なじみの家族は家にいていいって言ってくれたけど…

そこまで迷惑はかけられないから断った。

幼なじみとは高校も一緒で毎日のように会ってるけど…。


もう一つのわたしが普通の人と違うこと…


それは…


美姫『やっば!遅刻じゃん!』


今は午前7時55分。

8時を過ぎたら遅刻になってしまう。

ここからいくら頑張っても間に合わない。


美姫『…あれ使っちゃお♪』



蒔田『桜空さん!今何時だと思ってるの!?
8時はとっくに過ぎてるわよ!』


担任の蒔田。29歳独身。

見た目は男ウケしそうな美人。

でも女ウケは悪そう。 

ちなみにわたしもあんまり好きではない。


美姫『すいませーん。
調子が悪くなっちゃって…。
休んでたら遅くなっちゃいました。』


はい。嘘です。

こんな嘘普通は信じてもらえないよね。

普通は…ね。

でも…


蒔田『えっ!?大丈夫なの!?病院行く!?』 

わたしの普通の人と違うこと…

それは…


体が弱いこと。

生まれつき病気をもっててよく調子が悪くなるし今までに何度も倒れたこともある。

それを知ってるからこんな普通の人なら使えない嘘がつける。


美姫『大丈夫です。横になってれば治まると思うので保健室で休んできます。』


わたしの好きな場所―


それは…


保健室。

だってあの人に逢えるから。


大好きなあの人に…。