~蒼 side ~


17時を過ぎ生徒も帰りはじめているなか

俺はパソコンに向かって仕事をしていた。

そんな時

ガラガラガラ

こんな時間に誰だ?

ドアの方に目をやると…

美姫だった。

美姫『先生♪今いい?』

なんだ?

美姫の様子がいつもと違う。

もしかして

調子悪いのか?

心配になって美姫に近づく。

蒼『美姫どうした?
調子悪くなっちゃった?』

と聞くと

調子が悪いわけではなく

テストまで残り一週間だから

勉強を教えてくれだと。

美姫は保健の成績がいいから

教えることもそんなにないと思うけど…

でも美姫は得意な教科の点をあげたいから

教えてという。

…まぁいいけど。

俺の教科頑張ってくれるの

嬉しいからな。

俺の教科っていうのは関係ないと

思うけど。

それでもやっぱ嬉しいな。

すると…

美姫『テスト頑張るから
他の教科も頑張るから
だから終わったらごほうびくれる?』

と首を傾け上目遣いで聞いてくる。


それはダメだろ。

その顔他のやつに見せるなよ?

てか見せないでほしい。

最初ダメだと言ったら口を尖らせて

すねてる美姫。


1つ1つの反応がこどもみたいでかわいい。

美姫は感情が顔にすぐ出る。

だからその時の感情が簡単にわかる。

蒼『いいよ。
いい点数とったらな。』

そう言って俺が出した条件は

「全教科平均点以上+保健は90点以上」。

それがクリアできたらごほうび。

ごほうびはテストのあとに美姫の

誕生日があるからお祝い。

美姫の誕生日は7月7日の七夕の日。

星が好きな美姫にぴったりだと思う。

ちょうどテストの帰ってくる日。

それでいいか聞くと

即答でOK。

喜んでくれてるみたいでよかった。

その約束をしてお勉強タイムスタート。

他の生徒は保健をこんなに真剣に

やらない。

でも美姫は真剣に積極的にわからないことは

どんどん聞いてくる。

そんな時間もあっという間に過ぎ

時計を見ると7時45分。

もう外は真っ暗だ。

美姫を見ると不安そうな顔をしている。


送ってくか。

美姫に言うと不安な顔から一気に

いつもの笑顔になった。


俺の車に美姫が乗ってる。

こんなことが現実になるなんて…。

やべぇ俺普通にできてるかな…?

そんなことを考えてると

視線を感じる。

美姫が俺の事すごい見てる。

気のせい?

…じゃないよ…な。

なんか照れるんだけど。

俺の顔になにかついてるのかと思い聞くと

美姫『な、なんでもないっ!』

と向こうを向いてしまった。

照れてる?

とかいい方に考える俺。

…なわけないか。

蒼『これだけ勉強やれば大丈夫だな。』

美姫『そんなに期待しないでよ~。』

蒼『なんで?
目標クリアしないと
ごほうびなしだよ?』

……クリアできなくてもお祝いする
つもりなんだけど。

美姫『頑張るから目標クリアしたら
お祝いしてね?』

と言ってきた。

なにそれ

「頑張るからお祝いして」って…

かわいいんですけど。

俺と美姫の二人の約束。

このひびき…

なんかいいな。

美姫の家につき別れた。

後ろを見ると

美姫がずっと手を振っている。

かわいいな。

なんか俺…

美姫に振り回されてるな。

美姫の行動や表情1つ1つに

かわいいと

愛おしいと思ってしまう…。

重症だなこれ。

ケータイを開き美姫の名前を見る。

誕生日どうしようかな。

そんなことを考え夜空の中車を走らせた。