~拓真 side~
泣いている美姫の頭を撫でていると
美姫『拓真…』
少し落ち着いた様子の美姫が俺の胸に顔を埋めたまま話しかけてきた。
拓真『ん?どうした?』
美姫『…拓真は傍にいてくれる?』
その言葉と
その言葉を恥ずかしそうに言う美姫がかわいくてすぐに返事ができなかった。
美姫『…いや?』
返事がなかったから俺が嫌なのかと勘違いしたみたいでもう1度聞いてきた。
そんなの…
拓真『全然!嫌じゃないよ。』
嫌な訳ない。
好きな人に
「傍にいて」
何て言われて嫌な人なんているか?
いないだろ。
むしろすごい嬉しい。
美姫『ほんとに?』
拓真『ほんとに。』
嘘なわけない。
美姫『…ずっと?』
顔をあげ泣いて潤んだ目と不安そうな顔でじっとみつめられた。
ほんと…なにこの子…
めちゃくちゃかわいいんだけど…。
ふぅ…
落ち着け俺。
何度も自分に言い聞かせ何とか平静を装い
拓真『うん、ずっと。』
美姫『…嘘ついたらやだからね?』
あぁもう…
なんでそんな事普通に言えるんだよ。
俺が嘘つくわけないだろ。
俺も傍にいたいんだから。
それに…
拓真『約束したじゃん。』
約束しただろ?
美姫の両親が亡くなった時に
「ずっと傍にいる」って。
そう言うと
美姫『やっぱ覚えててくれたんだ…。』
少し驚いた様子の美姫。
そんなの…
拓真『当たり前。』
いくら昔の事でもこれだけはずっと覚えてた。
嬉しかったから。
昔の美姫に
「ずっと傍にいて?」
と言われたのが。
美姫『さすがだね。』
すっかりいつもの美姫に戻り
この笑顔をみたら思わず
好きだと言ってしまいそうになった。
今言うのはチャンスなのかもしれない。
でも…
やっぱり言えない。
どんな反応をするのかわかるから。
たぶん、俺は美姫の彼氏にはなれない。
それでも俺は美姫が好きだし
美姫が望む限り傍にいたいと思う。
そんな俺の考えはおかしいかな。
だって俺にとって美姫は大切な人だから。
大切だからこそ
困らせたくないし
何よりも…
幸せになってほしい。
たとえ美姫が他の人と一緒になっても
俺は美姫の幸せを1番に願いたい。
好きだから。