~拓真 side~


ほんと美姫には参った。

昔から気になった事は気が済むまで聞いてきたし頼られて嬉しかったけど…

まさかあんなに聞かれるとは…。


「好きな人かわいい?」

「どれくらい好き?」

って…。

そんなの何て答えればいいんだよ。


美姫が俺から離れさっきの事を思い返していると


柊『…大丈夫か?』


柊が隣に座りそう尋ねてきた。

柊にはさっき助けてもらったし…
お礼言っとかないとだな。


拓真『さっきはありがとな。助かった。』

柊『…アイツ意外とグイグイくるからな。』

拓真『だな。』


美姫をみてそう言った柊と笑いそんな話をしてた。

まぁ…

さっきもかわいかったんだけど…

そんなこと恥ずかしいから絶対言わない。

冷やかされるのはわかってるし。


拓真『さっきの質問…何て答えればよかったと思う?』


ずっと悩んでた事を聞いてみると


柊『…さーな。』

拓真『…だよな。』


ごめん。

お前に聞いたのが間違いだわ。

柊はこういうの疎いもんな。


柊『…俺にそういうの聞いても無駄だと思うけど?』

拓真『…だな、わり。』

山瀬『そういうのなら俺に聞いてよ☆』

詩織『そうそう!
あたしも恋愛相談ちょ~得意だし!』


柊と話してると騒がしい奴らが話に割り込んできた。

確かに山瀬はムカつくけどモテるし恋愛経験もありそうだけど…

こいつに相談するのは正直嫌だ。

でも…

詩織…

こいつは特にモテる訳じゃないし
今までろくに付き合ったこともないんじゃないか…?

そんな奴に聞くのは…。

でも…

聞くだけなら…


拓真『じゃあ…お前らならああいう時どうする?』


参考になるかわからないけど一応聞いてみた。

すると


山瀬『どーするって…
俺もう気持ち伝えてるし…
しょっちゅう「かわいい」って普通に言ってるけど?』


……


拓真『は!?』


お前何言ってんだよ!?

俺が動揺してると


詩織『山瀬っちやるね~!
でもそれいいよ!すっごいいい!』

山瀬『だろ☆
だってさ「好き」とか「かわいい」って何回言われても嫌な気分にはなんないじゃん?
だから言ってんの☆』


おぉ…。

って俺は何で山瀬の言葉に感心してんだよ。

褒められて調子にのった山瀬の言葉に不覚にも感心してしまった。

確かに「好き」や「かわいい」って言われて嫌な気分にはならない。

でも、


拓真『恥ずかしくないのかよ。』


そう言うの恥ずかしくて俺ならそんな気軽に言えない。


山瀬『別に?
言われた方は嬉しいし言う俺も嬉しいし…
お互いハッピーって事でいいじゃん☆』


…なんかこいつの話聞いてるとほんとにその通りな気がしてくる。

言い終わると山瀬は食器を片付けている美姫に向かって


山瀬『美姫ちゃーんかわいいね♪』


とニコニコ笑いながら叫んでいる。

ほんと…よくそんな恥ずかしい事できるな。

こういうとこだけは少しだけ尊敬する。


美姫『ちょっ…みんないる前でやめてよ!』

山瀬『ほら、嬉しがってる♪』


いやいやいや…

全然嬉しそうじゃないし。

むしろ迷惑そうなんだけど。


詩織『さっすが山瀬っち!
じゃあ柊も言ってよ!
「かわいい」って♪』

柊『…無理。』

詩織『ひっど!なんでよ~!』


詩織に揺さぶられながら淡々と読書している柊。

洗い物をしている美姫にちょっかいを出している山瀬。

その光景を辛いのを我慢してみている夏妃。

そんな様子をみていると


美姫『洗い物終わったから帰るね。』


エプロンを脱ぎながらそう言って荷物をまとめだした美姫。


夏妃『じゃあ…私達も帰ろっか?』

柊『…あぁ。』


そしてみんなも帰ることに…。