「おはよう、菜々、広瀬。」


「おはよう、涼。」


「おはようございます。」


立木 涼 先輩。


お姉ちゃんのクラスメイトであり、私の片想いの相手でもある。


でも…


ダメなんだ。


涼先輩はお姉ちゃんの好きな人だから。


「つくし、私ね、涼が好きなの。」


ついこの間言われたこと。


お姉ちゃんが好きならとっちゃいけない。


お姉ちゃんは悲しませちゃいけない。


傷つけちゃいけない。


いつの間にか、私の中にはそんな決まりができていた。


だって、お姉ちゃんは弱いから。


お姫様みたいに大事にされてる子だから。


お姫様は大事にしなきゃでしょ?


だから、私が我慢しなきゃ。


それに…


どうせ片想いだし。


叶わないなら、諦めようが、フラれようが、変わらないでしょ?


だから、別にいいかなって。


この想いは伝えられなくても。


愛されたい。


愛されたい。


心の中でずっと願ってたこと。


そして今も変わらないその願い。


お姉ちゃんのせいじゃないってわかってるけど。


妬まずにはいられなかった。