「広瀬、一緒に食おう。」
「えっ、あっ、うん…」
昼休みになって、今朝買ってきたパンを食べようと思っていたら、突然話し掛けられた。
あれからほとんど話してなかったからやっぱり気まずい。
でも根岸クンは普通に話してくれて、私の中の違和感も、少しずつ消えていった。
一番上まで階段を上って屋上についた。
「腹減ったあ。」
そう言ってご飯を頬張る根岸クンは、やっぱり可愛かった。
「早弁してたじゃん。」
「パンだけじゃ足りない。」
根岸クンといると楽しい。
でも…
これは恋じゃない。
私は今でも涼先輩が好き。
それだけは確かだ。
でも…
誰かの愛に触れていたくて。
手放すなんて、イヤだった。