「つくし今日も奈々先輩と来てたね。」


私のクラスではお姉ちゃんは有名で。


みんなよくお姉ちゃんの話をしてくる。


その度複雑なキモチになる。


「つくしってお姉ちゃんと仲良いよねぇ。羨ましいよぉ。」


「なぁ。てか、広瀬の姉ちゃんかわいいよな。」


「しかも優しいしね。」


やめて。


やめて…


ここにいるのは私だよ…?


お姉ちゃんじゃない。


ねぇ、見えてる?


私のこと、ちゃんと見えてる…?




「おはよう!!

って、広瀬、前髪切ったぁ!?」


根岸クンはそう言って私のところまで走ってきた。


「えっ……あぁ、うん。」


「うわぁ、本当だぁ。てか根岸、よく気づいたじゃん。」


「すごいだろっ。」


そう言って得意そうに笑う根岸クン。


ちょっとの変化に気づいてくれる。


それはすごく嬉しい。


でもね?


今日の朝、涼先輩が一番に気づいてくれた。


それがすごく嬉しくて、でも少しだけ切なかった。


もし、涼先輩が気づいてくれなかったら、私は諦められたのかな?


根岸クンを好きになれたかな?


そうなれればいいのにね。


そうなれれば、楽なのに…


みんなの笑い声に包まれながら、私は一人遠くを見つめていた。