根岸クンと付き合いだして、もう一週間。
何が変わるわけでもなく、いつも通りの毎日。
今日もお姉ちゃんと涼先輩と一緒の帰り道。
「今日体育の授業でさ……」
さっきからお姉ちゃんは一人でずっとしゃべってる。
涼先輩は適当に相づちをうちながら「はぁ」とため息を繰り返していた。
「涼?聞いてる?」
「聞いてるよ。」
「…つまんなそうじゃん。」
お姉ちゃんは不機嫌そうにそう言って、先に歩いていってしまった。
「あ…」
時々思う。
お姉ちゃんはわがままだなって。
「何かありましたか?」
「えっ……あ、ちょっとな…」
何と言ったらいいのかわからなかった。
これ以上聞くのも悪いし、そのまま流すのもよくないかなって。
「何か言えよ…。」
「すみません。深く聞くのも悪いなって思って。何て言ったらいいのかわからなくて。」
「お前、優しいよな。」
「そんな、優しいなんて……」
そう言った私に先輩はクスッと笑った。