「菜々が熱だしちゃって。だから仕事は休むわ。」


「菜々、大丈夫か?」


広瀬 菜々は二才上の私のお姉ちゃん。


お姉ちゃんは、可愛くて、人懐っこくて。


小さい頃から体が弱かった。


まだ私が2才の頃、お姉ちゃんが誘拐されそうになったことがあるらしい。


だからお姉ちゃんはみんなからすごく大切にされている。


逆に私は、顔はお姉ちゃんに似てるって言われるけど体は丈夫だし、すごい人見知りで人懐っこくなんてないし。


お姉ちゃんとは真逆だ。




お姉ちゃんが風邪をひけばみんな心配して。


優しく看病して。


でも、私の場合は違くて。



小さい頃、私が風邪をひいたとき


「大丈夫よ。ほっとけば治るわよ。」


って言われたのを今でも覚えてる。


お父さんも、お母さんも。


いつもみんな、菜々、菜々って。


お姉ちゃんばっかりだった。