私の名前はみつき。
この16年間親が敷いたレールの上を歩いてきました。

頭がいい高校に入って、将来は弁護士。
それは、すべて親が決めたこと。

私は何も言えないから、それに従うだけ。
物だって、親が買い与える。

少女漫画なんて買ったことないし、読んだこともない。

読みたいなんて思わない。

それは、頭が悪い子が読むもの。そう教えられてきた。

「いらっちゃいませ〜」
たまたまコンビニに立ち寄った。
こんなとこにあったっけ。
((ドンッ))
「いったあ。」
「すみません。」
誰かにぶつかった。

すごく綺麗な顔立ち。
眉毛は太く、目はすごく大きい。
顔は小さく、背は高い。
ほのかに香る香水の匂い。
それはどこか懐かしい香り。

ふと本棚に目をやった。
えっ。嘘でしょ。
どこがで見たことがある顔。
boysManと書かれた雑誌の表紙に写っていたのは、たった今ぶつかった彼。
振り向いた。
けれど、そこには彼の姿はなかった。