葵「咲。深呼吸しないなら、
  吸入して。」

そう言い、吸入器を渡してくる。

もう全て無視しちゃえ。

そう思い、無視をし続ける。

葵「お願いだから、
  どっちかして。」

そう言われたのも無視。

無視し続けていることで、
だんだん呼吸がつらくなってきているのは
自分でもわかっては、いる。

でも、信じられないんだよね。

何で、私はこんなに
病弱に生まれてきてしまったんだろう。

病弱じゃなかったら、今頃
好きなことなんでもできたのかな。

初めて親を恨んだ。

そして、気付いたら出てくる
涙。涙はどんどん出てくる。

葵がそれを驚いたように、
拭ってくれる。

その優しさも今では
鬱陶しい。

葵の手を振り払ってしまった。

葵「咲?」

その声と同時に私の意識は
どこかへ飛んで行った。