外国人のそれと分かる灰色の髪に日本人特有の黒い瞳を持つ彼は、誰が見ても一目でハーフと判別できるだろう。
本人としては、髪と瞳に日本人と外人それぞれの特徴がばらばらにはっきりと出ているのだから不思議でたまらない。
普通は全体にそれぞれの特徴がうっすらと出る程度のはずだ。

その外見から[ハーフ=弱い・金持ち]というイメージでもあるのだろうか。
不良に追い掛け回されたのはこれが初めてではない。
もっとも、ここまで長く追い掛け回してくるのは今回が初めてだったが・・・。

夕方学校帰りに不良に絡まれカツアゲにあいかけた。
幸運にも、彼等の体力がヴォル(ヴォルハイドでは長いので友人たちはこう呼ぶ)を下回っていたので、入り組んだ道を走っている途中で撒けた。
だが、この後が問題なのだ。
休憩にと廃工場の中で少しだけ休むつもりだったヴォルは安心したためか寝てしまった。
そして起きたら周囲は真っ暗。
工場を見渡すと、そこに居た何かの影の上に蝙蝠と人影がふってきたのだ。