ホンモノの俺は、小さな小さな手を握っていた。


山崎が、俺の体に乗っている死体をどけていくと、そこには冬花ちゃんもいた。




ホンモノの俺が、目をゆっくりと開ける。


ほぼ同じタイミングで、冬花ちゃんも目を開く。




「ありがとう、見つけてくれて」




ホンモノの俺は小さく呟いた。




「そんな………それじゃあこっちの空峰君は…………?」


「ニセモノ…?なのか?」




「でも、まだ分からないんだろ?


俺がホンモノかニセモノか。


あっちの俺がホンモノかニセモノか…………」




ホンモノであろう俺が、そう言った。


確かに、スーツの女性が言っていた。




ずっとこの空間で、皆を待っていたと。


自分はホンモノだと思っていたと。


けれど、自分はニセモノで、ホンモノの自分は自殺してしまって、ゲームオーバーになったのだと。