『いやっ・・・確かに息絶えるってのはオーバーかもしれへんけどね。何つーんですかね・・・こう破滅的に快楽を求めるっちゅうんでしょうか・・・生への悦びと言うよりも、むしろ快楽が先行している様な・・・こう刹那的な快楽っつうか・・・・』


須藤は酔いが回ってきたのか、自分の理論の矛盾に苦しみだし、自分で何を言っているのか分からなくなってきた様子だった。

美由紀はそんな須藤の言ってる事を理解しようと必死に相槌を打ちながら聞いていたが、一向に理解出来ないといった様な腑に落ちない顔をしていた。

ただし美由紀と違い僕は須藤の話を聞きながら夏恵を思い浮かべ、須藤の言っている事を何故か理解した。

確かに夏恵を抱いている時に感じる感覚は生への悦びとは違っていた様に思う。

僕は夏恵に生まれる強い衝動を愛なのだと認識していたが、はたしてそうなのかと疑念さえ生まれた。

だけど今の僕には、その疑念を晴らす術を知らない。

ただ僕は『エロス』だろうと『タナトス』だろうと僕に生まれた『リビドー』に従う事しか出来ないでいる。