僕はカウンターの所で美由紀に接待である旨を伝える。
彼女は指でOKサインを作り軽くウィンクして返した。
僕はついでにリビドーの意味を美由紀に聞こうと思ったが忙しそうだったのでやめた。
『・・・リビドーって何なんですか?』
『何って言われても・・・欲望みたいなもんですかなぁ・・』
僕は横に付いた女の子に上機嫌でインチキ臭い関西弁を話す須藤に無粋な質問をした。
須藤は僕の質問に笑顔を崩さず、女の子が作ってくれた水割りを口に運びながら答えた。
『フロイトって知ってはります?』
『・・・フロイト?』
須藤を酒を獲て軽快に回る舌を使って僕の知らない単語を並べる。
僕は自然と彼の言葉に吸い込まれる様に聞く体勢を整えていた。