エレベーターが5階に到着して扉が開くと、すぐ目の前に目的の店はあった。


『ココです・・・』


『・・・・リビドー・・良い名前ですなぁ~』


須藤は看板の文字を見て感心した様に声を上げた。

正直な所、僕はココの名前を気にした事が無かった、それどころかスペルの読み方すらも解らないままだったが、その名前は須藤の心に響いたらしく、しきりに『ママさんはどんな人ですの?』と聞いてきた。

僕は『高校の時の同級生です。』とだけ答えて店のドアを開ける。


『いらっしゃいませぇ~』


リビドーのドアを開けると数人の女の子達が僕らに気付いて声を掛ける。

カウンターの奥で水割りを作っていた女も僕に気付き、片手を軽く挙げて僕に微笑んだ。

僕も同じ様に片手を軽く挙げて彼女に挨拶を返した。

その様子に須藤は彼女が僕の同級生である事に気付き、僕の耳元で得意の小声で『綺麗な人ですなぁ~名前なんていいますの?』と聞いてきた。


『アイツがママの美由紀です。』


『あの人がママですかぁ~・・このリビドーの?』


『ええ・・ココの』


須藤は満足気に何度も頷き席に案内される。