僕は駅前の飲み屋街の一角の少し奥まった地下にある居酒屋へ須藤を案内した。
値段はいつも行っている居酒屋よりも少々張るが、刺身料理が評判の店で、この値段でこの味なら、けして高くは無いといった感じの居酒屋だった。
『良さそうな店ですねぇ・・・』
『えぇ結構評判ですよ。』
外も明るく時間も早かった為か、それとも平日だからかは分からないが席にすんなりと座り、早々に生ビールを頼んだ。
須藤は職業柄なのか店内のいたる所を見回していた。
そして『・・・この店、日にどの位入りますの?』とまた小声で聞いてきたので、僕は相変わらず声の調子を変えずにメニューを見ながら『さぁ・・・2~30組は軽く入るんじゃないですか・・・』と答えた。
須藤はそれを聞き、空を仰ぎながら指折り確認して一人で納得しながら『・・・でしょうなぁ』と言った。
僕は生ビールが来ると、すかさず刺身の盛り合わせをオーダーし、須藤は枝豆と焼き鳥を数本オーダーした。