定食屋は僕の会社からも近く、たまに昼休みに来る事はあったがビジネス街の中心にある定食屋らしく待たないと座れない事が度々だった。
今日はピーク時間は過ぎていて僕と須藤はすんなりと席を確保出来た。
『・・・ここ美味いんですか?』
『ええ・・・そこそこ』
須藤は誰に気を使ってか小声で聞いてきたが、僕は声を低める事なく答え煙草に火を点けた。
『吉岡さんも28ですかぁ?!・・・私と同い年だったんですねぇ』
須藤は食べてる時こそ大人しかったが、食後から車に乗り込み現場に向かう今も喋り続けている。須藤と僕の年齢が同じ事に僕は奇遇と思えず、逆に奇異に感じた。
僕は愛想笑いを繰り返しながら車の運転に集中する様にした。
正直な話、車中は苦痛になって来ていた。