駐車場は少し駅の入口から距離があったが新幹線のガード下にあり、夏の日差しも少し遮られ時折心地よい風が通り抜ける為、駅構内よりも涼しく感じられた。

流石に車の中は風も入り込まず、夏の温度を幾分か溜め込んでいたが、屋外の駐車場に停めておいた車に乗り込むよりもずっとマシだった。

『お昼は食べましたか?』


『あぁ~まだですわぁ!!ずうっと新幹線の中でしたし・・』


『僕もなんです・・・現場行く前に何処かで食べます?』


『そうして貰えると助かります・・・この辺って何が美味いんですか?』


『何が美味いですかねぇ・・・?』


僕から話し掛けたのが嬉しいのか、腹が減っていたのかは判らないが須藤は車に乗り込むと嬉々として先程よりも増して話し掛けて来た。

僕は須藤が次々に出して来るオーダーに全て曖昧に答え、結局駅前から少し離れた定食屋に向かう事になった。

定食屋に向かう車中も須藤はペースを落とす事なく僕に話しかけて来た。

僕はお喋りな客を乗せたタクシーの運転手の様に簡単な返事を続けた。