『・・・コッチも暑いんですねぇ・・・』


須藤はネクタイを少し緩めながら、僕達を照りつける太陽を恨めしげに睨みつけながらぼやいた。

僕は彼の手荷物を一つ持ちながら、そんな須藤に軽く笑いかけ頷き、駐車場に停めた車へ向け黙々と歩く。


『・・・でもアレですねぇ・・吉岡さんは私の思ってたよりも若いんですねぇ・・私なんかよりも上の人と思ってましたよ。』


須藤は僕との距離を縮める為か、畳み掛ける様に話を続ける。

僕は、僕が須藤に感じた印象と同じ印象を須藤が持っていた事に少し可笑しく思えたが、調子を変える事なく『ええ』とだけ答えた。

車に着くまでの間、須藤はずっと僕にとっては少し違和感の感じるイントネーションで話し続け、僕はそれを『ええ』『はい』『違います』と単純な返事で答え続けた。