いつもと変わらない明子は必要以上に僕を不安にさせている事に僕は気づく。
僕はそんな不安な気持ちを抱えたままリビングに向かう事にした。
トーストとベーコンエッグとコーヒー、明子がいつもの様に手際良く作った食事がテーブルに並んでいた。
更に彼女はインスタントのオニオンスープを二人お揃いのマグカップに入れてお湯を注いでいた。
僕は無言のままテーブルの前に座り、コーヒーをすする。
明子が初めて僕のアパートに泊まった日の朝を不意に思い出す。
彼女はその日も今日の様に朝食を作ってくれた。
それから明子は僕の朝食を何度も作ってくれた。
そんな事を思うと、彼女の昨夜の変化は僕を益々不安にさせる。
朝だと言うのに窓から差す日差しはすでに高く感じる。
セミは僕の目覚める前から鳴き続けている。
清々しいはずの朝は僕の周りを通り抜ける。
僕の周りにはただ不安が漂っているだけだった。