僕は相変わらずテレビの内容は一切頭に入らない。

僕の頭の中は今も夏恵に侵されている。

僕はシャワーを浴び終わり、シャワールームの扉を開けると、そこに夏恵の居る風景を想像した。

今でさえ、シャワーを浴び終わりシャワールームから出てくる夏恵の姿を想像する。


だが、そこから現れたのは『いつもの明子』だった。

そして明子はバスタオルを巻いたまま寝室に入り、下着の上にTシャツを羽織った簡単な姿で出てきた。


僕は酷くがっかりした。


そこに居るのが明子だったからでは無い、僕は深刻なまでに夏恵に病的に取り憑かれている自分に酷くがっかりした。

僕にだって少なからず明子への罪悪感を感じている。

せめて明子の前でいつもの僕みたいに過ごす様に思っていたが、それを僕の心が許さない事に気付いた。