東の空は徐々に暗くなりつつあった。

海と空との境界線は益々曖昧になり、西の空から押し寄せるオレンジ色の日の光が空の真ん中で優しく混ざり合う。

その優しく窓から飛び込んでくる空間に吸い込まれそうになる僕を、夏恵は先ほどブラの紐を直した右手で僕の左頬に優しくあて、優しく引き戻す。


『・・・トモ・・・こっち』


夏恵は優しく微笑みながら僕の心をひざまずかせる。

窓辺より飛び込んでくる優しい光は夏恵を照らす。

その美しさは僕の心の支配者が誰なのか僕の心に刻みつける。

無数の空色の名も知らぬ花が彼女の体に咲き乱れる。

僕は無意識に彼女の体に咲き乱れる空色の花の一片に触れる。