無粋な携帯が脇に抱えた上着の中で鳴った。
僕は感傷的な気持ちを掃って携帯に出る事にした。
携帯の背面ディスプレイに表示された名前は会社からでは無かった。
『夏恵』
僕の携帯の背面ディスプレイに表示されたのは、その二文字だった。
僕は少し驚いたが、ベルにタイミングを無意識に合わせて携帯に出た。
『・・・はい』
『もしもし・・・トモ?』
『・・・うん』
『・・・今大丈夫?』
波の音と夏恵の声が重なる。
海に洗われた僕にその声は染みた。
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