涙がこぼれそうになる。

夏恵が愛おしい。

何もかもを焼き付けたい。

その切なげな表情を

美しい胸を

蜜を湛えた泉を

そして心の奥底から漏れ出る声を


『・・・電気』


そう言いながら夏恵は枕の上の方にある照明のつまみを落とす。

ゆっくりと闇に包まれる。

雨の音が僅かに聞こえる。

僕は闇と夏恵に誘われる。

夏恵と僕の心の奥に潜む歓喜を垣間見る為に・・・