僕は夏恵を想い祈った。

安西と名乗る男は夏恵が自ら命を絶ったと言っただけで、何処でどうやって命を絶ったのか知れないが、僕は夏恵はこの海原に魂を鎮めたと思っている。



この優しい海に鎮めた魂を想い、僕は祈る。



姉の晴美



夏恵と名乗ったハルミ



その娘のナツエ



そして僕の愛した夏恵



やがて朝日は水平線に半分以上顔をのぞかせて、強い日差しを放つ。

僕は眉間にしわをよせながら、朝日を見つめる。