『トモさんでよろしいですか?』


『ええ・・・構いません安西さん』


『トモさん・・・正直に話してほしい・・・うちの妻とはどういった関係でしたか?』


僕は不思議と驚かなかった。

何故だろう、夏恵の事は名前しか知らないのに、夏恵に夫が居た事に僕は驚く事は無かった。

いや驚いていたのだろうが、それは既に夏恵の携帯から男性の声が聞こえた時点で済んでいたのかもしれない。


『・・・夏恵は何て?』


『・・・・いえ何も』


そう言って男は注文を取りに来たマスターにコーヒーを頼み、僕にポケットから煙草を見せて『よろしいですか?』と聞いてきた。

僕は自分の煙草を見せて『ええ僕も吸いますから』と言うと、男は煙草に火を点けて、小さく吸い込み大きく息を吐いた。