現場に着くとガサガサと激しい音を立てるビニールシートに包まった建物の前で工事の人間らしき男が雨の中、建物の入り口前で待っていた。
須藤は男を見つけると『何処だよ?!』と声を荒げて男と共に建物の中に入っていった。
僕は車を駐車場に停め、本分を果さない傘は差さずに須藤達を追う様に建物に入った。
中は予想以上に酷い状況だった。
外壁と平行して施工されていた内装のクロスは雨垂れの染みが付いていて、床も所々水溜りが出来ていた。
須藤はイライラと店内を歩き回り被害場所を見つける度に、工事の男を怒鳴りつけていた。
そして工事の男は須藤に何か指示を受けたらしく建物を出て車で何処かへ向かった。
『・・・すいません、どうやらコチラの施工のミスみたいですわ』
須藤はそう言ってまた頭を下げた。
『・・・どうしたんです?』
『・・・えっ?』
『何か、こう前よりもゲッソリとしてる様な・・・疲れ過ぎと違います?』
僕は須藤の言葉に『別に疲れてはいませんよ』と答えながらも、僕の表面に露呈した真実を突き付けられて少し慌てた。