花火達は沈黙を怖がる子供の様に夜空をはしゃぐ様に舞った。

相変わらず国道は流れる様子を見せず、かえって悪くなった様にさえ感じる。

中には会場に到達するのを諦めたのか、国道を逸れて脇道に入る車も見受けられた。

だがそういった車もまた同じ様な考えの人々の渋滞に飲み込まれる。

まるで完全に都市機能が奪われてしまった地球の終わりの日の様に、国道は絶望的な状況になっていた。


僕はそんな地上の、滑稽なやり取りを横目に見ながら夜空で大きな音を立てる度に花火達を眺める。

そして車の中で一人、どうしようもない悲しみに襲われる。

僕は明子を失ったと言う事実を夜空を舞う花火達に教えられる。

溢れ出そうになる涙を堪える為に強く拳を握る。


 答えを出さない事は、それが『答え』である事に僕はまざまざと気付く。