僕は実家を離れ明子の家まで車を走らせる。
明子の家まで数分の所で一度携帯を入れたら、彼女はいつもの様に準備を整えて待っていると言っていた。
帰省した人達の車だろうか、いつもよりも道路を走る車の県外ナンバーが目立って見えた。
首都圏から200キロちょっとのこの街まで帰ってきたのか、それともこれから更に北上し仙台やその先まで帰るのかは分からないが、どの車の運転手も酷く疲れた顔をしてハンドルを握り、後部座席の子供達ははしゃいでいた。
僕は少し流れの悪い大きな国道を逸れて旧街道を抜け明子の家の前に車を着けた。
庭先で明子の弟の義信が車を洗っていた。
義信は僕に気付き軽く会釈をして、家の方に向かい『ネェちゃん』と明子を呼んだ。