『・・・お盆の間は家で過ごすのか?』


『いや・・・明日から友達といわきの方に遊びに行ってくる。』


『・・・・そうか・・・海に行くのか?』


『あぁ・・・多分』


父は久し振りの息子との対面に少し緊張した様に話しかけてきた。

僕は父の質問に煙草を吸いながら答えた。

そして父は自分のズボンのポケットから財布を取り出し一万円を差し出した。


『ん?・・・何?小遣い?』


『違う・・お前にじゃない。』


『じゃぁ何?』


『姉さんに何か買ってやってくれ。』


『はぁ・・・?』


『海に行くなら何か花でも何でもいいから供えてやってくれ。』


僕は父の言っている事の理解に苦しみ『何だよソレ?』と聞くと食事の支度を整えた母がお膳を運び『姉さんは海で亡くなったの・・・』と言いながら食卓にソーメンを並べ始めた。